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なかなかやって来ない 春。
街は灰色、街路は枯れ枝ばかりです。
人びとは、暗くしずんだ気持ちでした。
そんな時、
おとこのこが、思いつきます。
「ねえ!どうして はるを まってなきゃ いけないの? まってなんか いないでさ、ぼくたちで まちを はるに しようよ!」
・・・
そのアイディアは、街中に 絵を描くこと。
塀に はっぱ、つる、
壁に ラッパスイセン。
外とうや消火栓は、あかるい青、黄色のしましまに。
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ビル
銀行
郵便ポスト
パンや
波止場のさんばし
黒いガスタンク
遊覧船
つり橋
電車……
どこも明るく輝いています。
・・・
ところが、その晩、
雨が降り、
朝になると、
街中の花、みどりはすっかり、流されてしまいました。
・・・
でも、
その雨が
花やみどり、
つるや若葉、クロッカスの芽、ちいさなシダ、タンポポを育てます。
動物たちは、地面の匂いをかぎ、あたたかい太陽の下で昼寝をします。
子どもたちは、ローラースケートに油をさし、自転車をみがきました。
すべてのものが目覚め、輝いてきました。
ほんものの はるが やってきたのです!
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『 どろんこハリー 』のコンビの絵本です。ハリーと同じような犬(ワイヤー・フォックス・テリア?)が、春を喜び街中を走っています。春の訪れを待ちわびていたのは、草花、木々、子ども、大人、どうぶつたちです。街の中のいろいろな場所と人々の姿がていねいに描かれています。みんな幸せそうです。1956年初版です。
残念ですが、多民族社会のアメリカがまだ絵に描かれていません。とは言え、親しみやすい絵と春を待ちわびる心がテーマの素敵な絵本です。
・・・
※『はるがきた 』ジーン・ジオン文、マーガレット・ブロイ・グレアム絵、こみやゆう訳、主婦の友社 2011年 (2020/2/24)