アン・ランド、
ポール・ランドの現代の寓話です。
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1は、
やせっぽち。
いっぽんの せん。
ひとりぼっちの 1 です。
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1は、
数字の なかまに
いれてもらえません。
きみたちみたいに 2に なりたいな。
2この
なし( 梨 )は、
あっちへ いけ。
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3つは ぬいぐるみの くま。
4ひきの はちは ぶんぶん おこります。
5ほんの かさは いれてやるもんか。
6ぴきの ありは だれもふりむかない。
7ひきの ねずみは しらん顔。
8さつの ほんも
9ひきの きんぎょも
1を 無視。
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いったい ぼくの
どこが わるいんだ ?
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ひとりぼっちの 1。
まっかな わっかが やってきました。
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いっしょに ちょっと あそぼうよ。
でも、ぼくは ただの 1だよ。
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ぼくの よこに たってみて、
ほ ら ぼくらは 10になれるんだ。
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もう、
ひとりではない 1。
わらい ながら
さけび ながら
ころがる わっかを 追うのです。
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そして、1 と わっか ( 0 ) は、ふたりで、10になります。わたし( 1 )は、あたらしい わたしたち( 10 )に なります。
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※『 ちいさな 1 』アン・ランド、 ポール・ランド 作 谷川俊太郎訳 ほるぷ出版 1994年 ( 原作は 1962年 )