表紙の絵と タイトルが、子どもたちを おはなしへと誘います。
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子どものいない 王さまと おきさきさまが、いました。
王さまは、発明家に
おきさきさまは、かしこい まじょに
「子どもがほしい」と願いました。
発明家は、ちいさな 木のロボットを つくりました。
まじょは、ちいさな 丸太のおひめさまを つくりました。
丸太の おひめさまには
ひとつ 秘密がありました。
毎ばん ねむりに おちると 丸太に もどってしまいます。
「おきろよ おきろ、小さな 丸太」という
魔法の呪文を かけてもらうまで そのままなのです。
ある朝、
メイドさんが
ベッドに 丸太を 見つけ、
窓から 投げすてて しまいました。
丸太は、もちろん、おひめさまでした。
木のロボットは、
妹を探しに 出かけます。
船にのり、
北の国で ようやく おひめさまの丸太を 見つけました。
ロボットは 妹を
ゆっくり 休ませようと、
呪文を となえずに
荷車にのせ、毛布にくるんで 帰ることにしました。
そのうち、
ロボットの からだが おもくなり、
動けなく なりました。
ロボットは 魔法の呪文を となえました。
おひめさまが 目を さまします。
こんどは、
おひめさまが 荷車に ロボットをのせ 帰ることにしました。
いろいろな できごとに あいました。
いたずらずきの ようせい
ドラゴンの たまご
仲のわるい りょうし
ゆうれいの でる いど
きょだいな クロウタドリ
バラの木の あかちゃん
もう少しで お城につきます。
おひめさまは、お城の ベッドをおもいだし、
「ちょっとくらい、目を つむっても いいわよね」
と言うと、
ぽん!
丸太に なってしまいました。
木のロボットの中にいた 虫の家族は、
ねずみ、小鳥、ウサギ、キツネの助けを かりて
丸太と ロボットを
かしこい まじょの家まで はこんであげました。
まじょは、ロボットを なおして、
お城に いきました。
王さまと おきさきさまは おおよろこびです。
そして、みんな しあわせに くらしました。
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冒険あり危機ありの起伏に富んだストーリーです。タイトルになっている、「木のロボット」と「丸太のおひめさま」という人物設定が、たのしいおはなしを予感させます。眠りに落ちると丸太に戻ってしまうおひめさまの設定は、冒険がうまれる仕掛けです。また、ふたりは、親しみやすいキャラクターに描かれています。
コマ割りを使うなど画面構成にも工夫があります。トム・ゴールド(1976-)さんは、「ガーディアン」や「ニューヨーク・タイムズ」といった新聞などで活躍する漫画家・イラストレーターです。
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※『木のロボットと 丸太のおひめさまの だいぼうけん』 トム・ゴールド作 金原瑞人訳 ほるぷ出版 2021年 (2024/4/1)