古き良き時代のアメリカ。
19世紀初頭、アメリカ北東部ニューイングランド地方の農家の1年間の生活です。
・・・
10月。
とうさんは、荷車に牛をつなぎ、一年間にみんながつくり育てたものを積みこみます。
とうさんが刈りとった 羊の毛、
かあさんが編んだ ショール、
むすめが編んだ てぶくろ(ミトン)、
むすこがつくった ほうき。
ろうそく、リンネル、屋根板のたば、じゃがいも、リンゴ、はちみつとはちの巣、かぶ、キャベツ、かえでざとう(メープルシュガー)と がちようの羽のひと袋。
とうさんは、牛をひき、丘をこえ、谷をぬけ、村をいくつもすぎて、10日がかりで ポーツマスの市場につきました。
そこで、みんな売ります。
荷馬車も、牛も売ります。( 荷馬車や牛も!? )
・・・
そのお金で、家族みんなに おみやげを買います。
鉄の鍋、
刺繍針、
バーロウナイフ、
はっかキャンディを。
そして、家にもどります。
冬の間、
とうさんは、新しい軛をけずり、
かあさんは、亜麻をリンネルに仕上げ、
むすめは、刺繍、
むすこは、ほうきをつくり、
そして みんなで、ろうそくをつくります。
・・・
3月 かえでざとう作り。
4月 ひつじの毛の刈りとり。
5月 じゃがいも、かぶ、キャベツをうえます・・・
ポーツマスの市場で、荷馬車も牛も売ってしまう、おとうさん。でも、家には若い牛がいました。おとうさんは、新しい軛をけずり、荷車の板をひいています。家族みんなが働いています。生活を支え合う家族。その暮らしぶりはつつましいものですが、余分なものがなく、自然とともに生きる家族です。バーバラ・クーニー(1917-2000)の絵がすばらしい。家族みんなで働き、暮らしをたてる人々の生活を淡々と描いています。1980年度のコルデコット賞受賞作品です。
・・・
※『 にぐるま ひいて 』ドナルド・ホール作、バーバラ・クーニー絵、もきかずこ訳 ほるぷ出版 1980年
バーバラ・クーニーの絵本は『 ルピナスさん 』『 チャンティクリアときつね 』も、このブログで紹介しています。 (2017/1/4)