ふるはしかずおの絵本ブログ3

『なにをかこうかな』- 絵を描くのは楽しい!

「みんな 自分の 絵を かこうよ」。好きなように、自由に。

笑いの中に、メッセージがあります。

      

     ・・・

「なにを かこうかな」

うさぎの ビリーが 

自分に似た 足の絵を 描きはじめました。

 

  

こいぬの ペニーが 来ました。

「あたまを かかなくちゃあ。」

ペニーは、 

自分と同じような あたまと耳を描きました。

 

   

あひるの グレタが 来ました。

「あしが あるといいわね。」

グレタは、

自分と同じような 足を描きました。

 

   

やまあらしの ポールが 来ました。

「はりが ないねぇ。」

ポールは、

自分と同じような 針を たくさん描きました。

 

   

にわとりの ロニーが 来ました。

「とさかを つけなくちゃね」

ロニーは、

自分と同じような とさかを 描きました。

 

 

 次にやってきた

 ふくろーの オリバーは 羽を

 ねずみの マギーは しっぽを

 ぞうの エリックは ながーい はなを 描きました。

    

 

みんな、勝手に 描き足しました。

 

 「どうだい これで できあがり」

 「でも ぼくが かきたかったのは・・・

  自分の絵が 描きたかったんだ」

        

      

みんな 自分の絵を 描きたかったのです。

みんな 自分の 絵を かこうよ

みんな、自分の絵を 描きました。

   

うさぎの ビリーは?

もちろん、うさぎの 絵です。

    

           ・・・

どうぶつたちは、うさぎのビリーの絵に、自分の特徴のあるところを、自分のいいところを 勝手に描きました。結局、ビリーの絵は、へんてこりんな絵になってしまいました。その姿が笑えます。でも、悪気があってしたことではなく、「よい」と思ってしたことです。

     

「角を矯めて牛を殺す」のことわざに似ていますが、みんなは、牛の曲がった角(欠点)を直そうとしているのではなく、「よい」と思うことをしています。自己中心的な善意の行動も、「牛を殺す」ことがあるようです。

    

    ・・・

※『なにをかこうかな』マーガレット・レイ、H・A レイ作、中川健蔵訳、文化出版 1984年 (2024/1/8)

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