ふるはしかずおの絵本ブログ3

『たぬきの おつきみ』-お月様を喜ばせ笑わせる


秋、

稲も野菜も豊年万作です。

たぬきやまの たぬきは大喜びです。

「ええのう」「ええのう」「たまらんのう」

       ・・・

たぬきは、稲や野菜のおすそ分けを いただこうと考えます。

「ほんじゃ まあ すこし」

「ほんの すこし」

「ちょっぴり ちょっぴり」

「こんやは おつきみじゃ」

 (お月見だからって、盗んでよいものではありません)

       ・・・

たぬきたちは、お地蔵さんのお団子もいただきます。

「ちょっぴり ちょっぴり」

「みんなは とらん」

でも、

残したのは 1個だけ。

お地蔵さんは困り顔です。

すすきも 刈り、

よかべべも 着て、

お化粧して、

たぬきたちは、山の広場に のぼっていきます。

お米を 供え、

おいもも 供え、おだんごも 供え、すすきも いけました

 (米といもと団子は、盗んだものです)

      ・・・

お月様が のぼってきます。

たぬきたちは 手を合わせます。

お月様は、原っぱを見下ろされ、「ほほほほほ」とお笑いになられます。

というのも、

ほーら。

 (下の絵を見てください。笑い顔になっています。)

村では、子どもの声がします。

「かあちゃん おつきさんが わらっているよ」

たぬきたちは、稲、いも、団子をじぶんの物にしようとしたのではなく、お月見をして豊年を祝っていたともいえます。たぬきのお月見は、お月様を喜ばすことにありました。盗みは盗みですが、どことなく憎めないところもあります。人物がたぬきですから、ユーモラスな言動がいっそう笑えます。お地蔵様も許してくださることでしょう。

今年の中秋の名月は9月13日です。 

       ・・・

※『 たぬきの おつきみ 』 内田麟太郎作、山本孝絵、岩崎書店 2003年 (2019/9/10)

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