頭にできた4つのこぶを
オニにとってもらうという、奇想天外なおはなしです。
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かあさんが、たろうを叱ります。
「こんなにわるい点をとるのは、あたまがかたいせいだよ」
まずい、
と思ったたろうは、
算数、国語、理科、社会の勉強をはじめます。
すると、
頭になんでも入っていくようです。
妹のちょん子は、たろうの頭にこぶが現れ、ぴくぴくと動くのに気がつきました。こぶは、4つもできました。
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国語のこぶ、
算数のこぶ、
社会のこぶ、
理科のこぶ。
(どうして「国語」のこぶって、わかったの?)
たろうが、こぶに手を当てて考えると、
ぴくぴくして、
国語、算数、社会、理科の知識が、スラスラと出てくるのです。
(すごい ヽ〔゚Д゚〕丿スゴイ)
でも、「おれ、やだよ」
(それはそう。かっこわるい!)
たろうは、泣きました。
ちょん子が、忘れてみたら、元に戻ないかと提案します。
でも、忘れようとすると復習になってしまいました。
かえってまずい。
ちょん子の次の提案は、
「こぶとりのじいさん」のオニに取ってもらおうというものです。
(すごい発想です。ヽ〔゚Д゚〕丿スゴイ)
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夜になると、
ふたりはオニをさがしに山へ。
おおきな木の洞穴で寝ていると、
パチパチ、
火が燃える音がします。
すると、
オニが4ひき。「一ぼこ、二ぼこ……」と歌をうたっています。
おそろしいオニにビビる たろう。
ちょん子に背中をおされて、オニの前に飛びでました。
度胸を決めて、デタラメな歌と踊りをする たろう。
オニたちは喜んでいいました。
「おまえのうたとおどりは、たいしたもんだ。そのこぶを、一つあずかっておくから、あしたもこいや」
(昔話にソックリ)
4人のオニが一つずつこぶをとったので、
たろうは、ほっとしました。
・・・
それから、どうなったかって。
結局、勉強が苦手なたろうに元通りです。
(これでおしまい?)
後日談・落ちがあります。
こぶを持ち帰ったオニたちは、自分の子どもに国語のこぶ、算数のこぶ、社会のこぶ、理科のこぶをつけると、勉強が得意な子に大変身です。オニの子は、こぶか一つ余計についても気にしませんでした。なぜって、頭にもう角をはやしているんですから。
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奇想天外なストーリーで、ナンセンスも盛り込まれています。ファンタジーや民話の世界もごちゃまぜです。落語の要素も? でも、「こぶとりのじいさん」の昔話が、おはなしをつなぎとめています。たろうの頭に、国語のこぶ、算数のこぶ、社会のこぶ、理科のこぶができるなんて、なんてありえない! Σ(´∀`;)
「こぶとり」だけに、おはなしに、こぶの「落ち」(オチ)がありました。
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※『こぶとりたろう』たかどのほうこ作、杉浦範茂絵、童心社、2009年
【 追 記 】
主人公はたろうですが、妹のちょん子も大切な役割を担っています。でも、「ちょん子」とは、人を食ったような名前です。おはなしは長く、だいぶ端折りました。2010年に読書感想文コンクールの課題図書(小学校中学年)です。 (2020/10/6)