家出というかたちで、自立したい子どもの姿を描いています。
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ぼくたちは、
家出を したくなったので
きょうだい みんなで にもつを つめた。
セーター くつした
マフラー てぶくろ ふゆぼうし
どこへ家出をするというのでしょうか?
ツリーハウス!
でも、
だいすきな ツリーハウスは
風に 吹き飛ばされて しまいました。
つぎは、
ぼくたちの 好きな あの池の
いかだのうち。
でも、
雨が降り、いかだのうちは、沈没して しまいました。
つぎは、
ぼくたちの 好きな 洞窟。
でも、あそんでいると
クマのかぞくに 会いました。
ビックリ (;゚Д゚)
さいごは
浜辺。
お城を 作って あそびます。
でも、
波が お城を 洗い去って しまいます。
だから みんなで にもつを つめた
セーター
あかと きんいろした おちば
うちの こに した かえる
たいよう いりの たからの いし
なみの うたを うたう まきがい
そして、家へ 帰ります。
やっぱり うちで 暮らそうと。
家出をしたくなったので、大好きなツリーハウス、いかだの家へ、家出をする子どもたち。その姿に、自立したい子どもの心が見えます。こうした子どもたちに、共感する子もいることでしょう。
子どもたちが、ツリーハウス、いかだのいえ、洞窟、浜辺へと引っ越すたびに、ふゆぼうし、てぶくろ、マフラー、くつしたの順に・・・、持っていったものが、ひとつずつ なくなっていきます。でも、反対に、赤と金色をした落ち葉、かえる、宝の石、巻貝を手に入れました。
いままで持っていたものを失い、あたらしいものを得るということは、かれらの体験の意味を象徴しています。
リズミカルな文章、モノクロームの線画。文と絵は、生き生きとした子どもたちのすがたを描いています。
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※『いえでをしたくなったので』 L.M. スコーベン作、D. バーン絵、松井るり子訳、ほるぷ出版 2014年 (2023/8/7)