じぶんに確信がもてない、アナグマのはなしです。
・・・
アナグマさんは 悩んでいます。
ぼくの もようは・・・
しろくろもよう?
くろしろもよう?
ぼくって一体、どっちだろう?
トリに ききました。
えーっと、どっちだろう?
それより 足にからまった 糸を ほどいてくれる?
おやすいごよう。
ありがとう。
イヌさんに ききます。
うーん、どっちだろう。
ボールで あそばない?
うん、いいよ。
しろくろ、くろしろの 模様のあるどうぶつたちに たずねます。
ウシ
スカンク
シマウマ
パンダ
シャチ
ペンギン
誰にきいてね、その答えは みつかりません。
ペンギンは いいました。
きみは やさしい。
それが いちばん。
なりたいものに なればいい!
ありがとう、ペンギンさん。
ねえ、おなか すいてない?
・・・
「しろくろもようか」「くろしろもようか」、自分の色に悩んでいるアナグマ。どちらの色が、ぼくなのかという問題は、案外重要で大切な問題です。アナグマはどちららの色も持っています。それは私たちも同様です。
アナグマのアイデンティティについて、「なりたいものに なればいい!」というペンギンは答えています。また、「きみは やさしい。それが いちばん」と評価しています。
「なりたいものに なればいい!」というのは、きみの行動がたいせつ、それがきみをつくる、自分ばかり見ていてもわからないよ、と言っているようにも思います。「見る前に跳べ」。
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※『あおいおしりのアナグマさん』 ヒュー・ルイス=ジョーンズ作、ベン・サンダース絵、ひなたほのか訳 化学同人 2023年 (2024/4/3)