ふるはしかずおの絵本ブログ3

『まのいいりょうし』- めでたい話の笑い話

幸運な猟師。ほら話ですが、庶民の願いがみえます。

      

     

むかし

猟師が 息子の 七つの祝いのために

つつが への字に まがった 鉄砲を もって

山のものをとって こようとした

  

  

山の池に いって みると

13羽の かもが いる!

    

 しめた

    

 ドカン!!

 

鉄砲を放つと

たまは 

ちどりがけに ぎしゃぎしゃ とんでいって

ぜんぶの かもに 命中した

    

     

捕まえようと 池に がわがわと はいっていくと、

びしゃんと でっかい 鯉が おどりあがって

やぶのなかに とんで おちた

   

   

岸から あがるために

木の根を ひっつかむと

そいつは、やまうさぎの 後ろ足だった

    

うさぎは

前足で あがくものだから

山芋が にじゅうごほん 

    

 

やまどりが 

とんできた 鯉に くびを おられて しんでいた

巣には じゅうさんこの たまご

    

たまごを もち帰るため

枯れ葉を かきあつめると

きのこが あらわれた

      

家にかえり、はばき(蓑であんだすねまき)を とくと

えびが ごしゃごしゃ

もんぺを ぬぐと

が さんじゅうさんびき おどりでた

    

  

りょうしは 

きんじょきんぺんの 人びとを よんで

息子の 七つの 祝いに

ごちそうを ふるまったとさ

   

 いちごさかえた

   

           ・・・

運は運を呼ぶ、豪快で愉快な昔話です。

ほら話でもありますが、漁師が手に入れた幸運は、息子の七つのお祝いのためでした。そして、近所の人たちをよんで、大盤振る舞いの宴会する猟師です。「運がいい」だけでなく、「気前がいい」猟師です。この話をきいている人たちも、語り手のこの大袈裟なはなしぶりを許していたことでしょう。

    

12羽のかも、15本の山芋、13個のたまご、33びきの鮒と、数に対する語り手の意識は、昔話に特徴のひとつです。また、オノマトペもいっぱいです。ガチン、すたすた、ぎしゃぎしゃ、ドガン、ばたばた、ぴしゃん、ずしりずしり、ごしゃごしゃ。オノマトペが、おはなしに彩りを添えています。     

     

       ・・・

※『まのいいりょうし』 瀬田貞二再話、赤羽末吉絵、福音館書店 2016年  (2025/7/20)

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