
ユーモアのある、新美南吉の幼年童話です。
山寺の こぞうさんが 檀家へ お経を よみに いきました
お経を わすれないように、
こぞうさんは お経を よんで いきました。
キミョ
ムリョ
ジュノ
ライ
うさぎが
「あそんで おいきよ」と 誘います。
うさぎと あそんでいるうちに、
やっ しまった
こぞうさんは、お経を わすれてしまいました
すると うさぎは、
お経の かわりに うたを おうたいよと、
教えました
むこうの ほそみち
ぼたんが さいた
こぞうさんは
うさぎの おしえて くれたように、
ほとけさまの まえで
むこうの ほそみち
ぼたんが さいた
さいた さいた
ぼたんが さいた
と かわいい こえで うたいました
みんな びっくり
目を ぱちくり
それから くすくす わらいだしました
こんな かわいい お経は きいた ことが ありません

ごしゅじんは 「はい、ごくろうさま」
と、おまんじゅうを こぞうさんに あげました。
こぞうさんは、かえりに
おまんじゅうを、うさぎに わけて やる ことを
わすれませんでした。
・・・
ユーモアがあり、善意にみちた新美南吉の童話です。こぞうさんの「むこうのほそみち ぼたんがさいた」は、たしかに笑いをさそいますが、ある意味、たいせつなことを語っていると言えるかもしれません。
キミョ
ムリョ
ジュノ
ライ
浄土真宗の正信偈です。親鸞聖人の『教行信証』の一部ですが、こぞうさんが忘れないように唱えていたのは、「帰命無量寿如来 南無不可思議光」。この冒頭は、親鸞聖人の阿弥陀さまへの絶対的な帰依という深い信心が表明されているところです。正信偈は、門徒の方は、親鸞聖人のおことばとして、たいせつにされておられることでしょう。
・・・
※『こぞうさんのおきょう』 新美南吉作、鈴木靖将絵、新樹社 2016年 (2025/7/30)









