ふるはしかずおの絵本ブログ3

『きょうは、おおかみ』- 想像の世界を共有するふたり

ゆううつで、おおかみみたいな 気分の 妹

ほがらかで、妹を愛する 姉

ふたりの ふかい結びつきを えがいています。

   

    

ある朝、

いもうとの バージニアが、

おおかみみたいに ぐるるる がるるる

 

 「バネッサねえさん、だめ! がおーう!」

むしゃくしゃして

おこりっぽく

おちこんで

もうふに もぐりこみ

   

 「ほっといて!」

   

 「なにかきっと あるはずよ、あかるい きもちに なれること」

 こたえて。「ね。バージニア」

   

 「このそらを とんでいけたら いいかもね・・・

 ぜったいに かなしい きもちに ならないところ」

 
 「それって、どこ?」

   
 「ブルームズベリーに きまってる

   

     
バネッサは、ブルームズベリーが どこか思いつきません

      

でも、彼女が 考えついた答えは・・・

壁に 庭を かこう

バージニアの 好きなものが いっぱいの

バージニアの 庭

     

草花

ブランコ

はしご

のはら

ふたりは、想像力を 共有して あそびます

つぎの朝

バージニアは 部屋を 見ていいます

   

  「これで かんぺき、わたし だいすき」

     

  ああ、よかった

  気分はどうをって きいてみた

    

  「だいぶ いいんかじ」

  「ほんと?」

  「うん」

    

  バージニアは にっこり わらって、わたしの てを とった

    

  「ね、おそとで あそぼうよ

     

    

むしゃくしゃして、おこりっぽく、不機嫌な子どもをえがいています。機嫌が悪いヴァージニアは、私たちの身のまわりにいる子どもの典型です。子育てのなかで出会う一場面でしょう。

   

   

いもうとの気持ちに寄り添うバネッサ。バネッサは、「ぜったいに かなしい きもちに ならないところ」・ブルームズベリを家のなかに再現し、バージニアのこころを癒していきました。

    

     

作家のヴァージニア・ウルフと姉の画家ヴァネッサ・ベルがモチーフだそうです。    

イザベル・アルスノーの繊細で詩的な絵が、物語の感情を豊かに表現しています。物語の感情を豊かに表現する彼女の絵は、季節労働者の家族の物語『アンナとわたりどり』(西村書店 2015年)にも発揮されています。

       

       ・・・

※『きょうは、おおかみ』 キョウ・マクレア文、イザベル・アーセノー絵、小島明子訳、きじとら出版 2015年

SHARE