鳥たちの 骨や羽根から 鳥をつくります。
その鳥は、大空へと 飛び立っていきました。
創造のプロセスをえがいた、ファンタジーです。
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鳥を つくるには、
ちいさな 骨を あつめよう。
骨のなかは からっぽで
空に うかんで いられるように
とても かるい。
どんな形の 鳥でもよい。
ワシ
スズメ
鳥を つくるということは
いそいで することじゃない
つぎは 羽根を あつめよう
翼は 鳥を 空に 舞いあがせる
こわれやすい 骨ぐみのなかに
心臓を あたえよう
はるかな故郷へと とんでゆけるように
それから
するどい眼
とがった くちばし
たくましい 爪
さえずる 歌を くわえよう。
鳥は しずかで うごかない。
ほんものの 鳥になるために、
たりないものが あることに 気づくだろう。
鳥を 手のひらに のせて
やさしく かかげよう。
翼が ひらき はじめる。
ひろい空に 舞いあがる 夢
旅立ちのとき、
おおきく はばたく 鳥
空へ まっすぐに とんでいく
やがて、ちいさな点になり、
あおい空に 消えていく
ゆっくりと 鼓動する この胸が
せつなさと よろこびに みたされるのを
そのとき はっきりと わかる
ほんとうに 鳥を つくったのだと
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詩のような文章です。また、絵のなかに少女がいます。語り手は、この少女に呼びかけているようです。語り手のことばは、「鳥」をつくる少女へのメッセージです。
また、鳥たちの骨や羽根から鳥をつくり、鳥が大空に飛び立っていくストーリーは、いのちのないものにいのちを吹き込む創造のプロセスです。創造のメタファーです。すべての作り手、芸術家、創造者への賛歌です。
「この世界にいるすべての作り手に・・・命を吹き込み、それを手放す勇気をもつみなさんへ」(メグ・マッキンレー)
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※『鳥をつくる』 メグ・マッキンレー作、マット・オットリ―絵、井上舞訳、化学同人 2022年 (2024/11/12)