
家から逃げた、白い牛を捕まえようとする、男たちのドタバタです。
私(表紙の女の子)の視点から、描かれています。
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このケンタッキーの
どこかに、白い牛がいる。
だれも つかまえられない、白い牛
父さんと マシューさんは、
オレンジ色の トラックに 乗り、
白い牛を つかまえに でかけた。
でも、
どこにも 見つからなかった。
雑貨屋の オリーさんが、白い牛を 居場所を 教えてくれた。
父さん、ビルおじさん、ボブおじさんが、でかけたが
だめだった。
1か月後、
白い牛が トウモロコシ畑にいる、と聞いて、
父さん、マシューさん、ビルおじさん、ボブおじさん、
おじいちゃんも 加わって
白い牛を 探しに 出かけた
。
おじいちゃんは、南ケンタッキーで いちばん 牛をよぶのが じょうずだ。
「スーク! スーク! オーイーオー!」
でも、だめだった。
次に、白い牛を 見つけたのは わたしだった。
そうっと そうっと 近づいて
牛の ロープを つかんで 歩くと
白い牛は 素直に 森まで ついてきた。
ロープを 手首に しっかり結べば、逃げられっこない。
わたしは 眠くなってきた。
で、どうなっかって?
そう、やっぱり だめだった。
白い牛は ロープを上手に はずして いなくなっていた。

わたしは、いま、ロープを ベルト代わりにしている。
そして、
おじいちゃんに 牛のよび方を ならっている。
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ストーリーはこのようですが、この絵本のおもしろさは、白い牛に翻弄されて帰ってきた男たちのユーモラスな様子と、かれらの会話にあります。「話に尾ひれがつく」とはこのことです。白い牛について、「手ごわい」「頭がいい」「よく太っている」というだけでなく、子牛を産んだこともないのに、「子牛がまた、かわいいんだよな」「なんともうまいミルクをだすんじゃ」とまで言っています。あらすじでは書けませんでしたが、「逃した魚は大きい」というような男たちの会話です。
絵は、1930年代を髣髴させます。白い牛、オーバーオール、オレンジ色のトラック、雑貨屋の雰囲気、「わたし」の家の様子、自然風景などが繊細に描きこまれています。
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※『白い牛をおいかけて』 トレイス・シーモア、ウェンディ・アンダスン・ハルバリン絵、三原泉訳 ゴブリン書房 2023年 (2025/4/5)