ふるはしかずおの絵本ブログ3

『海べのあさ』- 自然とともに暮らす一家

サリー、妹のジェイン、おかあさん、おとうさんの4人家族は、海辺のそばに暮らしています。ちいさな島で暮らす家族の生活を、幼いサリーの目をとおして描いています。

 

 

ある朝

サリーは 

歯が1本 ぐらぐらして ぬけそうなのに気がつきました。

   

 「ママ、マーマ!

 「それは、きょう サリーが、

  大きくなったという しるし なのよ」

     

ママは、抜けた歯を 枕のしたにおいて 

なにか おねがいするの、教えてくれました。

  

     

朝ごはんを 食べて、サリーは

ハマグリをとっている おとうさんのところへ 行きました。

 

その途中

空を 飛んでいる ミサゴに いいました。

  

 「あたしの歯、1ほん ぬけかかっているの!

 

  

アビにも

アザラシにも いいました。

パパにも いいました。

   

 「パパ、あたしの歯、1ほん ぬけかかっているの!

    

サリーは、パパの 手伝いをしましたが、

歯が抜けて、なくなって しまいました。

   

     

家に帰る途中、

カモメの はねを 見つけました。

  

 「カモメのからだから ぬけたの?

 「そのとおりだよ」

 「あたし、このはねで おねがいしよう

   

     

家に 帰り

サリーと 妹のジェインと おとうさんは、

ボートにのって、バックス・ハーバーへ 買い物に出かけます

モーターが 壊れて

おとうさんは ボートを 漕ぎました。

     

    

ボートのモーターは、

古いスパーク・プラグを ぬいて

新しいものと 替えました

    

       

サリーは

抜かれたスパーク・プラグで 妹のジェインのために

秘密の お願いをしました

    

    

そして、ふたりは、アイスクリームを食べて

ミルク箱、食料品を ボートにのせて

島に 帰ります。

おかあさんの ハマグリのスープが できている家へ。

    

          ・・・

自然とともに暮らす一家の生活が淡々といきいきと描かれています。サリー、いもうとのジェイン、おかあさん、おとうさん、バックス・ハーバーの人びとの確かな人物描写です。

    

サリーの歯抜けたカモメのはね故障したモーターから抜かれた古いスパーク・プラグが、3つの「抜けた」「抜かれた」ものとしてあります。

       

浜辺で、ぬけた歯を見つけられなかったサリーは、歯が抜けたときにするお願いができなくなりました。カモメの羽根を見つけ、 「あたし、このはねで おねがいしよう」と言っています。また、抜かれた古いスパーク・プラグで、いもうとのジェインのために「秘密のお願い」をしています。

       

歯が抜けて、サリーはひとつ大きくなりました。カモメも新しい羽がはえたことでしょう。ボートのモーターも、新しいスパーク・プラグをつけ、買いたてのようになりました。

       

          ・・・

※『海べのあさ』 ロバート・マックロスキー文・絵、石井桃子訳、岩波書店 1978年(1952年初版)  (2025/5/24)

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