森の おひめさまの 一日です。
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あさの かぜさんが、
おてつだいの つゆのこを
おひめさまに おくって きましたよ
つゆのこたちは
おひめさまの 髪を とかし
金の くつ
赤い 服の むねの リボンを むすびます
こけの ぼうやは
あさごはんの したく
からすの 先生は 本を かかえて おしえます
お勉強は これで おしまい。
こじかさん
うさぎさん
みんな いっしょに でかけましょう
おひめさまは きのこぼっこに 昔のおはなしを してあげます
星の こどもは
おうちに かえる みちしるべ
きょうも たくさん
わらって あそんた
しげみのなかで どうぶつたちは ねむります
おひめさまも おやすみなさい
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オルファ―ス(1881-1916)の美しい絵本です。絵本の初版は1909年です。メルヘンの世界の住人たちは、おひめさま、かぜさん、つゆのこ、こけのぼうや、からすの先生、こじか、うさぎ、りす、ことり、きのこぼっこ、ほしのこどもです。読者は、これらの人物に誘われて、メルヘンの世界を体験します。
おはなしは とてもシンプルですが、語り手は、おひめさまたちを やさしく見守っています。「こちらへ おくって きましたよ」「りすも ことりも いそいでね」とおはなしへ参加しています。また、翻訳は、敬体が中心ですが、「したくが できた」など常体の文も見られます。敬常体です。体言止め、中止形、文節などにも工夫が見られ、リズミカルな文章です。
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※『森のおひめさま』 ジュビレ・フォン・オルファ―ス作、秦理絵子訳 平凡社 2003年 (2024/9/30)