ふるはしかずおの絵本ブログ3

『月がくれたきんか』- 「いまは きみのすきのほうが だいじだ」

強欲な金持ちのルドと 貧しいけれど、こころ優しいミロのはなしです。

       

     

ミロは

何年か かかって 銀貨を 7まい ため、

白い馬を 買うことを 

ルドに 知らせました。

       

ルドは

おもしろく ありません。

ミロを だまそうと かんがえました。

      

    

ルドは

壊れた鋤のかわりに あたらしいものを 買うのに

銀貨が 7枚 足りないと、ウソをつきました。 

しんせつな ミロは 銀貨を 貸して 言いました。

 

   

 「いまは きみのすきのほうが だいじだ」

    

    

刈りいれの 時、

ミロは お金を かえして もらいに いきました。

ルドは お金を 返すつもりは、ありません。

  

   

かわりに 大きな鏡を ミロに渡しました。

月が でたら、ぎんの まきばで 

月が うつるようにして、

7晩 つづけたら、7枚の 金貨もちになると 言います。

 

    

ミロは、つくりばなしだと 気がつきましたが、

ためしてみました。

 

   

ミロは 鏡を 草の上に おきました。

はたらいて つかれていた

ミロは ねむりこんで しまいました。 

  

よくあさ

目を さますと、

鏡のうえで 金貨が かがやいています

月の金貨 でした。

  

 

ミロは、きれいな白い馬と 荷馬車を かいました。

新しい家も たてました、

白い馬には きもちのいい うまやを つくりました。

     

  

ルドは

かえしてもらった 鏡を まきばに おき

月を じいっと 見つめましたが、 

月は 雲に かくれて しまいました。

     

おこった ルドは 

鏡を こなごなに くだきました。

それいらい、かれを 見たものは だれもいません。

      

ミロは、たまに 金貨を 割りました。

貧しい人が たずねてきたときや、

冬の あたたかな上着が ほしいときなどに。

   

           ・・・ 

貧しいけれど、正直で、はたらきもののミロ。欲張りで心貧しいルド。さいごは、やさしく、心うつくしい人物がしあわせになる昔話の典型の話です。ポール・アザールのことばです。「わたしは、真理や正義に対する信頼をつちかうことをその役目としているような本を愛するのだ」(『本・こども・大人』矢崎源九郎、横山正矢訳、紀伊國屋書店)

    

子どもに出合ってほしい絵本、おはなしです。

     

                   ・・・

※『月がくれたきんか』 ルッサルト作、ウィルコン絵、いずみちほこ訳 らんか社 1988年  (2025/2/15)

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