ふるはしかずおの絵本ブログ3

『戦争は,』- 「戦争は、沈黙だ」

戦争についての箴言のような文章です。

その一部を紹介します。

   

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戦争は、何も聞かない、

    何も見ない、

    何も感じない。

    

    

戦争は、ありとあらゆる恐怖が集まって、

残忍な姿に化けたものだ。

    

    

戦争は、憎しみ、野心、恨みを糧とする。

     

    

 戦争は、

 何も知らない人たちの柔らかな夢に入りこむ

    

   

戦争は、物語を語れたこともない。

   

戦争は、鋼と影の子どもたちを生み出す。

    

戦争は、廃墟の街を支配するのが好きだ。

   

  

 戦争は、轟音とカオスだ

 戦争は、沈黙だ

    

    

      

ポルトガルを代表する文学者の詩です。物語で語るのではなく、戦争の本質をえぐりだすような詩句です。全部を紹介できませんが、上にあげた文から、戦争の悲惨さ、無慈悲さ、残酷さ、また人間性を奪う恐怖を感じ取ることができるでしょう。

      

著者のジョゼ・ジョルジェ・レトリアは、40年にわたるポルトガルの独裁体制に抗してきた詩人、作家、ジャーナリストです。息子のアンドレの絵は、蠢く不気味な生物、無機質な世界、立ち並ぶ兵士、爆撃機の編隊、雨のように落ちる爆弾、破壊される都市、廃墟の絵を組み合わせ、「カオス」と「死」の戦争の実態を描いています。

    

「戦争は、物語を語れたことがない」という、詩句につけた絵は、山積みになった本が燃やされようとしている絵(上の絵)です。

     

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※『戦争は,』 アンドレ・レトリア文、ジョゼ・ジョルジョ・レトリア絵、木下眞穂訳、岩波書店 2024年  (2024/6/28)

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