ふるはしかずおの絵本ブログ3

『富士山に のぼる 増補版』- 新しい世界にであう

登山を通して、富士山の自然と文化をつたえる写真絵本です。

  

       

 とおくから見ているだけじゃ、つまらない。

 冬のある日、ぼくは富士山にのぼることをした。

    

    

ゆっくりと、すこしずつ歩く。

そうすれば つかれない。

    

息は、はいて、はいて、すう。

山にのぼるときは、はくことがだいじだ。

   

    

風が、テントに 体あたりしてくる。

    

眠りながら、ふもとの森のことを かんがえた。

シカやキツネもいる ゆたかな森

  

青木ヶ原

   

氷穴

風穴

   

    

朝日を あびながら、

ぼくはまた、ふみ出した。

風は 荒れ狂い、

サングラスの中まで、雪が飛びこんでくる。

  

  

富士山は、いまもまだ 生きた火山だ。

 

    

木が育たない、高い場所でも、

小さな植物が、根をはって 生きている。

 

 

頂上が見えた!

ついに、ぼくは、のぼりきった。

自分の足で歩いてきたぞー!

  

     

 富士山

 そこにのぼれば、

 かならず、新しい世界にであうことができる

 

 見なれた姿の中に

 しらないことがたくさんある

     

       ・・・

エベレストをはじめ、7大陸の最高峰すべてを登頂した石川直樹さん。登山者でなければ、語れないリアルな表現があります。また、登山を語る言葉は、人生の真実を伝える言葉ともかさなります。

  

「吉田の火祭」も紹介されています。また、巻末には、冬の富士山に登るための「ぼくの装備一式」があります。アイゼン、ピッケル、防寒着とともに、トイレットペーパーがありました。「鼻をかんだり、汚れた食器をふきとるのにも使う。使った紙は、その場にすてず必ずもち帰る」。

       ・・・

※『富士山に のぼる 増補版』 石川直樹文・写真 アリス館 2020年  (2024/7/14)

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