自分だけの 帽子をかぶって 街を歩く ミリー。
それは、彼女が想像した帽子です。
・・・
ミリーは、
すてきな帽子が ならんでいる 帽子屋さんの前を とおりました。
お店に はいり、
羽根のついた帽子を 買おうとしますが、
お金が ありません。
店長さんは
羽根のついた帽子のかわりに
ミリーが想像した帽子が、あらわれる「ぼうし」を だしてくれました。
「おおきさも かたちも いろも じゆうじざい。
おきゃくさまの そうぞうしだいで
どんな ぼうしにもなる、すばらしい ぼうしです」
ミリーは、想像の「ぼうし」を かぶって 街を歩きます。
クジャクの ぼうし!
ケーキの ぼうし
花で いっぱいの ぼうし
ふんすいの ぼうし
ミリーは 気が つきました。
わたしだけじゃない。
みんな ぼうしを かぶっている。
みんな ちがった ぼうしを。
ミリーが 歌を うたうと・・・
ぼうしも うたいます。
家に帰って ママにいいました。
「ママ、わたしの あたらしい ぼうし、みて! きれいでしょ」
ミリーの頭には もちろん ほんものの「ぼうし」は ありません。
でも、ママは言いました。
「まあ、すてきね。ママも そんな ぼうし、ほしいな」
「ままだって もってるのよ、ほんとうは。そうぞうすれば いいの」
そうです。
だれだって もっているのです。
じぶんだけの すてきな ぼうしを。
・・・
あらすじでは省きましたが、ミリーは、暗くて寂しい水たまりのぼうしを被った、おばあさんに出会いました。ミリーが微笑みかけると、ミリーの帽子から 鳥やさかなが飛びだし、おばあさんの帽子に飛びうつります。おばあさんの表情や足取りは、すっかり変わりました。おばあさんの姿は、文章ではなく、絵で表現されています。絵と文の両方をひとりで創作する利点を活かしています。
子どもの想像力を刺激する絵本です。
保育に活用できる絵本です。想像の帽子をみんなで描いてみましょう。子どもたちは、どんな帽子を描くのでしょうか。誰だって「じぶんだけの すてきな ぼうし」をもっています。
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※『ミリーの すてきなぼうし』 きたむらさとし作、BL出版 2009年 (2024/7/30)