ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ペンギンのこまりごと』- いまがたいせつ

ペンギンの こまりごとに対して、

セイウチが、人生哲学を やさしく語ります

 

      

ペンギンの いちにちは、こまったことだらけです

    

眠いのに もう朝

くちばしは 冷たい

きーきー うるさい なかまたち

だいきらいな 雪

 

   

海は つめたいし

シャチ、アザラシ、サメ

敵が いっぱいで、食べられそうに なっちゃう

よちよち あるきに 見えるし

とべないし

顔は みんなと そっくり

  

  ペンギンって、いやなこと ばっかり!

  だれも わかってくれない!

   

  よろしいですか?

    

   

セイウチが 言います

  

 うつくしい 山

 すがすがしい あおぞら

 太陽の ぬくもり

 ともだちや かぞくの やさしさを

 感じて みななさい

 おもいだして みなさい

 

 もちろん、いやなことは おこるもんじゃ・・・

 なやむこともある・・・

 なにもかも いやだとおもって なやむときこそ、けっきょく 

 いまのじぶんいまのばしょが 

 いちばん いいと きがつくもんなんじゃ

     

 

セイウチに言われて、ペンギンは 考えました

そうかも しれない

でも、やっぱり・・・

     

           ・・・

ペンギンの「こまりごと」というより、ペンギンの愚痴です。でも、セイウチは、今というこの瞬間を大切にしなさい、楽しみなさいと言っています。常識の哲学ですが、ローマの詩人・ホラティウスの詩句を借りれば、「その日を摘め(Carpe diem)」です。

      

ペンギンは、セイウチの話に納得したのでしょうか。「でも、やっぱり・・」と言っています。「性は易え難し」。

     

レイン・スミスの絵は、ユーモアがあって、軽快です。   

        ・・・

※『ペンギンのこまりごと』 ジョリ・ジョン作、レイン・スミス絵、岡野佳訳、化学同人 2021年  (2025/11/1)

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