
ペンギンの こまりごとに対して、
セイウチが、人生哲学を やさしく語ります。
ペンギンの いちにちは、こまったことだらけです
眠いのに もう朝
くちばしは 冷たい
きーきー うるさい なかまたち
だいきらいな 雪
海は つめたいし
シャチ、アザラシ、サメ
敵が いっぱいで、食べられそうに なっちゃう
よちよち あるきに 見えるし
とべないし
顔は みんなと そっくり
ペンギンって、いやなこと ばっかり!
だれも わかってくれない!
よろしいですか?
セイウチが 言います
うつくしい 山
すがすがしい あおぞら
太陽の ぬくもり
ともだちや かぞくの やさしさを
感じて みななさい
おもいだして みなさい
もちろん、いやなことは おこるもんじゃ・・・
なやむこともある・・・
なにもかも いやだとおもって なやむときこそ、けっきょく
いまのじぶん、いまのばしょが
いちばん いいと きがつくもんなんじゃ

セイウチに言われて、ペンギンは 考えました
そうかも しれない
でも、やっぱり・・・
・・・
ペンギンの「こまりごと」というより、ペンギンの愚痴です。でも、セイウチは、今というこの瞬間を大切にしなさい、楽しみなさいと言っています。常識の哲学ですが、ローマの詩人・ホラティウスの詩句を借りれば、「その日を摘め(Carpe diem)」です。
ペンギンは、セイウチの話に納得したのでしょうか。「でも、やっぱり・・」と言っています。「性は易え難し」。
レイン・スミスの絵は、ユーモアがあって、軽快です。
・・・
※『ペンギンのこまりごと』 ジョリ・ジョン作、レイン・スミス絵、岡野佳訳、化学同人 2021年 (2025/11/1)









