
くいしんぼうの ペチューニアの おはなしです。
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「おかの くさの なんと あおあおと していること!」
おいしそう、
食べたいと ペチューニアは 思いました
いぬの ノイジーが 忠告します。
「わるいやつらに ようじんしろよ」
おかへ行く 途中、
となりの草地、樫の木の下の草、小川のそばの草も
食べましたが・・・
うちで たべているのより、もっと あおくなければ
もっと おいしくも ありません
まったく おんなじ くさでした!
丘の草は かさかさに ひからびて いました。
そこへ
ペチューニアを 狙って、
いたち
きつね
あらいぐま
やまねこが あらわれました。
欲張りの ごろつきどもは、
うなり、爪をたてるやら、かみつくやら・・・
いっせいに けんかを はじめました。
ペチューニアは、
丘を かけおりました。
はんぶん はしり、はんぶん すべりながら。
気絶寸前の ペチューニア
そのとき、
いぬのノイジーが ほえながら 飛びだして きました。
ペチューニアを 追いかけてきた
いたち、きつね、あらいぐま、やまねこは
いちもくさんに 逃げていきました。
ペチューニアは、自分の草地の草を 食べると
それは、いままで たべた どの くさよりも
いちばん いい あじでした。
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西洋のことわざのようなおはなしでした。
The grass is always greener on the other side of the fence
「塀の向こう側の芝生はいつも青い」
仲間たちが警告したのに、むこうの丘にはもっとおいしい草があると思い、どんどん進んでいったペチューニア。ペチューニアを狙っている、いたち、きつね、あらいぐま、やまねこを 呼びだしてしまいました。目先の利益ばかりを見ていると、周りが見えなくなり、危険を呼びだすという教訓です。でも、欲求をもつこと自体はわるいことではありませんし、憎めないところもあるペチューニアです。
ロジャー・デュボワザン ( 1904 ~ 1980 ) は、「しろいゆきあかるいゆき」 ( White Snow Bright Snow ) で1948年のコールデット賞を受賞しました。「ペチューニア」シリーズは人気の絵本です。
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※『ペチューニア ごようじん』 ロジャー・デュボアザン作・絵 松岡享子訳 冨山房 2000年 (2025/3/16)