ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ペチューニアのたからもの』- 宝物はパンプキン農場の仲間たち 

ペチューニアが見つけた「宝の箱」が、パンプキン農場にひと騒動をおこします。

   

    

ある日

ペチューニアは、川の底で、おおきな箱を 見つけました

   

 「これは たからのはこよ・・・

  かいぞくが ずっとむかし、ここにかくしたのね」 

   

ペチューニアは

お金持ちになったと 勘違い

パンプキン農場の みんなに、宝の箱のことを はなしました

 (でも、箱の中身を確認していませんよ)

  

  

みんなは、

ペチューニアからの プレゼントを 期待します


 ペガサスみたいな つばさがほしい(うまのストロー)

 目覚まし時計 (おんどりのキング)

 くじゃくの羽 (しちめんちょう)

 おそろしい、とらの頭 (ひつじのローズ)

      

  「とらのあたまを、すっぽり かぶっていれば、

   もうだれも、わたしのことを 

   よわむしだの まぬけだのって いわないでしょ」

   

     

 銀のおさらと ナイフと フォーク (ぶた)

 かがみ (めうしの カナリー)

 つなわたりの つな (やぎ)

 メガホン (番犬のノイジー)

   

 「わたしのひよこたちさえいれば、それだけでしあわせ」 (めんどりのアイダ)

    

   

その夜

ペチューニアは 夢を 見ました

かえるたちが ペチューニアの金貨を まきちらしている夢を

夢の中で、

カエルを 追いまわし、くたくたに つかれてしまいました

   

   

かわいそうな ペチューニア

昼は プレゼントを願う ともだちに

夜は かえるに 

悩まされました。

   

 「きのうより、もっとつかれてるようね」 (めんどりのアイダ)

 「まちくたびれたわ」 (めうしの カナリー)

 「はやく とらのあたまを ちょうだい」

 「くじゃくの 羽だよ」

  

   

みんな、自分のことばかり

喧嘩に なってしまいました

パンプキン農場は 大騒動

     

    

ペチューニアは、川の底の 箱を 確かめにいきました

   

宝の箱の なかは・・・

からっぽ

  

でも、ペチューニアは 思います

   

 「これでまた、みんな なかよしになれるわ

   

農場に帰ると、

動物たちは いっしゅん ぽかんとして

それから 笑いだしました。

    

動物たちは、

ペチューニアを囲んで うたったり おどったりしました。

にぎやかに パーティになりました。

      

             ・・・

川の底で見つけた「宝の箱」が、みんなに夢を見させました。 怖ろしいトラの頭のプレゼントを期待するひつじのローズ。「 もうだれも、わたしのことを よわむしだの まぬけだのって いわないでしょ」という理由を聞くと、ちょっと気の毒な感じです。メガホンを希望する番犬のノイジー。ノイジーが、もっとノイジーになることでしょう。ユーモアです。

      

「宝の箱」は、みんなを 仲違いさせてしまいました。でも、「宝の箱」には何もなく、空っぽでした。これで、パンプキン農場の騒動は一件落着。みんなの夢は消えましたが、友だち関係は残りました

      

絵本は、お金が人のこころを変えるこわさを語っていますが、また友だちの大切さを言っているようにも思います。ロシアの諺「100ルーブルよりも100人の友人」のような話です。

    

            ・・・

※『ペチューニアのたからもの』 ロジャー・デュボアザン作・絵 乾佑美子訳、童話館出版 1998年

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