ジェンダーを考える絵本です。
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わたしは 黒がすき。
ふつう、女の子は ピンクがすきだけど、わたしには うんざりなの。
ママは、「男の子 顔まけね」って いう。
それって、男の子みたいって いみよ。
わたしは、クモみたいに 変かしら?
クモは、8本足があって、虫のなかの余所者。
でも、わたしは、クモのままでいい。
わたしは、
自分が女の子だって よーくしってるよ。
わたしは、石、化石、恐竜、ミミズ、クモ、クワガタ虫が好き。
原始人の話も大好き。
いちばんすきなのは、なんたって クレーン!
でも、パパはいうの。
そういうのはみんな 男の子のものだって。
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どうして 女の子は、男の子のものを 好きになっちゃいけないの?
どうして 男の子は、女の子のものを 好きになっちゃいけないの?
そしたら、「そうなってるから」だって……。
そんなの こたえに なってないよ。
ピンクが好きって きめないで!
ジェンダーフリーを考える絵本です。わたしの視点(一人称視点)から書かれていますので、わたしの考えがストレートに伝わってきます。性別という外見にとらわれないで、先入観で判断しないで、本当のわたしは別なのと訴えています。言いかえれば、あなたの目や価値観を疑って、と言っているようです。
わたしたちは、性別、肌の色、性格、好み、価値観・・・人を区別して見ます。区別して理解することは大切ですが、対象(人)を固定的にとらえ枠付けることでもあります。そこに偏見が忍びこんできます。
わたしたちはみんな違います。ジェンダーフリーとは「社会的性別などで定められている男女の役割などにとらわれず、一人一人が自由に行動、発言、選択をできるようにしていこう」という考えです。個人がかがやく、もっと自由な社会をめざしています。
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※『ピンクがすきって きめないで』 ナタリー・オンス作、イリヤ・グリーン絵、ときありえ訳、講談社 2010年
【 追 記 】
絵本紹介の文では触れませんでしたが、オーギュストとカールいう2人の男の子(上の絵)も出てきます。オーギュストは人形遊びをしたり、人形に服を縫ってあげたりしています。「そういうのは 女の子のすることだって」と言われています。でも、わたしは「わたしのはんたい」みたいな感じの男の子だと思っています。もうひとりのカールはとても怖がりで繊細な子。ミニカーに花の絵を描いて叱られました。わたしは「その方がきれいだと思っただけじゃない?」と思います。