ふるはしかずおの絵本ブログ3

『パパはたいちょうさん わたしはガイドさん』- 視覚障がいのあるわたしとパパ

わたしの目はかすかに見えるけど、パパの目は見えない。

パパと学校へ行くのは わたしの いちばん好きな時間です。

「わたし」が語ります。

   

  

学校への 道のりは、

ひかりと かげと 音のジャングル

パパと わたしは いつだって

手を つないで 探検に行くの

  

    

町のくるまは どうぶつみたい

   

    

パパは この世界のだれよりも

たくさんのものを 見てる

パパは つえを たたいて リズムをとるよ

私と いっしょに ステップをふむの

     

パパは わたしのことを、「ぼくのガイドさん」っていう

パパこそ たよれる「わたしの たいちょうさん

    

 

横断歩道は 探検の クライマックス

道は 川

横断歩道は 橋

パパは 16歩の 川を わたる

わたしは 28歩

ドキドキする    

ぴょんと とびあがって

   

 タンッ! ついた!

      

学校につくと、パパと わたしの 手は はなれてしまう

   

 「さあ、いっといで」

 「また、あとでね、たいちょうさん」

     

わたしたち 5じかんたったら 

また あえるよ

   

  

 おかえり。ぼくのガイドさん

 ただいま。わたしの たいちょうさん

  

  

           ・・・

パパとの登校を「わたし」の視点でかたります。「わたし」の一人称視点ですので、パパへの思い、信頼、愛情がひしひしと伝わってきます。

     

視覚障がいのあるわたしとパパ。しかし、ふたりはたくさんのものを見ています。その世界はとても豊かです。街をはしる車には、ライオン、パンダ、ジャガー、インパラが乗っていると想像しています。海を想像したり、横断歩道は川にかかる橋、信号を待っているときの人混みのざわめきは オウムたちの鳴き声のようだと思っています。

    

彼らの想像の世界を 絵がゆたかに表現しています(上の絵)。

      

         ・・・

※『パパはたいちょうさん わたしはガイドさん』 コンサロ・モウレ作、マリア・ヒロン絵、星野由美訳 PHP研究所  2023年  (2025/6/11)

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