
ジョーン・ビーチャム・プロクター(1897-1931)は、爬虫両生類学者であり、ロンドン動物園のはじめての女性の、爬虫類学芸員でした。
彼女の生涯と活躍を描いた絵本です。
子どものころから、
トカゲや ヘビや カメが 大好きな ジョーン
ものしずかで注意深い は虫類の特徴に そっくりな ジョーン
16歳の 誕生日に、
ワニの赤ちゃんを プレゼントして もらいました。
お散歩に つれていきました。
学校にも つれていきました。
でも、みんなは、キャーキャー
ジョーンは、自然史博物館の学芸員にも 会いに行きました
そこでは、は虫類のはなしが できました。
戦争(1914-1918)がおこり、
博物館では、人手が たりなくなり、
ジョーンを 助手として やといました。
彼女は
毒ヘビや パンケーキガメの論文を つぎつぎに 発表しました。
ロンドン動物園の は虫類館を
は虫類たちが 住みやすいように 改善する仕事もしました。
そこには、
コモドドラゴンも いました。
みんなは、生きたドラゴンに びっくり。
コモドドラゴンの1頭、スンバワの治療も しました。
スンバワは、おとなしく 治療をうけ、
ありがとうというように
ジョーンの顔を なめました。

ジョーンは 時の人でした。
ロンドン動物学協会は、
コモドドラゴンの研究発表をしてほしい、と頼みました。
「(コモドドラゴンの)うわさは おおげさです。
3メートルまで成長することはあっても、9メートルなんておおうそ。
・・・たいていは、おとなしくて やさしい生き物なんです」
その後
動物園をまわる、ジョーンの かたわらには、
いつも コモドドラゴンの スンバワの姿が ありました。
ときどき、子どもたちと お茶会を ひらきました。
いちばんの お客様は、もちろん
スンバワです。
・・・
は虫類に魅かれていた少女は、自分のすきなことを追求し、やがて大きな仕事をしました。ジョーンは、ロンドン動物園のは虫類館で、コモドドラゴンを観察して、うわさほど凶暴な生き物ではないことも明らかにしました。
彼女は若くしてなくなりましたが、彼女の生涯は、女性の生き方や個性ということにについて、おおきな示唆を読者に与えることでしょう。
フェリシタ・サラの絵はとても個性的で、一目で彼女の作品だとわかります。すでに『木に なろう!』『せかいでさいしょのポテトチップス』『ライラックどおりの おひるごはん』『怪物があらわれた夜 - 「フランケンシュタイン」がうまれるまで』『おじいちゃんの くるみの き』を紹介しています。
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※『ドラゴンのお医者さん』 パトリシア・バルデス作、フェリシタ・サラ絵、服部理佳訳、岩崎書店 2019年 (2025/4/5)