オニのこの ドン
にんげんの こうちゃん
ふたりの 悪戯者が ひきおこす ひと騒動です。
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オニのこの ドンも こうちゃんも
悪さばかりをして ふたりは うちから 追いだされて しまいました。
ドンが こうちゃんの うえに 落っこちてきました。
「なんだよ おまえ」
ドン! と太鼓を たたきました。
「オニのこだよ。おまえは なんだよ」
ドン! ドン! と太鼓を たたきました。
こうちゃんも まけじと 太鼓を たたきました。
ドンドコ ドンドン ドン!
オニのこも 太鼓を たたきます。
ドンドコ ドンドン ドン!
ドンドコ ドンドン ドン!
ドンドコ ドンドン ドン!
「こうちゃんに なにを するの」
こうちゃんの おとうさんと おかあさんが でてきて、太鼓をたたきます。
ドンドコ ドンドコ ドコドン ドン!
ドンドコ ドンドコ ドコドン ドン!
ドコドコ ドコドコ ドコドコ ドン!
ドコドコ ドコドコ ドンドコ ドン!
「ドンちゃんに なにを するんだ」
オニの おとうさんと おかあさんも でてきて 太鼓をたたきます。
ドカシャバ ドカシャバ ドカドカドカ!
ドカシャバ ドカシャバ ドカドカドカ!
ドンカカ ドンカカ ドカドカドン!
ドンカカ ドンカカ ドカドカドン!
ねこと いぬ にわとり うし
人間の世界からも オニの世界からも みんな 集まって、
太鼓を ならします。(ここは省略です)
とつぜん みんなの 太鼓の 音が あいました。
ドオン!
みんな おおわらいです。
ああ、おもしろかった!
「また やろうね」
「うん、また やろう」
そして、
みんな かえって いきました。
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ジャズピアニストの山下洋輔さんの文章です。言葉の音感、リズム感、勢いがあり、ユーモアがあります。みんなの音があった「ドオン!」 おおきな声で言いましょう。読み手も聞き手の子どもたちもいっしょに 「ドオン!」。
ユーモアは、長新太さんの絵の特色のひとつです。ここでも笑える絵になりました。
音楽家と画家の競作、共作、協作、文と絵が響き合うという意味で、響作の絵本です。
みんなの音が「ドオン!」と合うことが、ほかの世界でもあるといいですね。
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※『ドオン!』 山下洋輔作、長新太絵、福音館書店 1995年 (2024/6/18)