
ぼくのペットは ちいさな ゾウです。
ある日
ペットと集まるパーティーが ありました
ぼくは ゾウくんと いっしょに 行くと・・・
家の前に 看板が かかっています
ゾウは おことわり
帰る途中
おんなの子に あいました
「わたしのスカンクも おことわりって いわれたの」
「そんなの、おかしいよね」
ぼくは いいことを 思いついた
「ぼくたちで、クラブを つくろう
ペットを かっている子が、
だれでも はいれる クラブだよ」
ぼくは 通りで声を はりあげた
「ペットクラブに はいりたい子は あつまって」
みんな、あつまってきた
ペットたちと いっしょに
キリン
はりねずみ
アルマジェロ
ペンギン
コウモリ・・・
いぬを つれた子たちも やってきた
町の広場の
「ぼくたちのペットクラブ」は
にぎやかで たのしいよ
ぼくたち みんな、なかよしだから

ゾウやスカンクをペットする子は、いないでしょう。でも、趣味の問題とすれば、「蓼食う虫も好き好き」です。
また、かれらは、ペットの趣味の少数派、マイノリティです。ぼくは、パーティから締め出された動物たちが遊べる場所を、おんなこといっしょに、つくりました。かれらの場所では、いぬがペットの子も受け入れられています。「だれでも はいれる クラブ」です。言いかえれば、だれも拒まれていません。
マイノリティの対象を少し広げて考えてみますと、言語、身体、性、貧困などの少数派がいます。これらのことについて、まず正しい知識を身につけることがとても大切です。この絵本は、ペットの趣味を題材としていますが、差別や偏見の問題、多様性の尊重という価値を、子どもにわかりやすく表現しています。マイノリティ理解のはじまりの一歩となることを期待します。
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※『ゾウは おことわり!』 リサ・マンチェフ作、ユ・テウン絵、たなかあきこ訳、徳間書店 2016年 (2025/6/25)