ふるはしかずおの絵本ブログ3

『スティーブンソンの おかしな ふねのたび』

『宝島』『ジキル博士とハイド氏』で有名なスティーブンソンは、1887年8月、

貨物船でニューヨークに向かいました。その航海の様子を書いた手紙をもとに、

ナンシー・ウィラードが詩にまとめました。

  

   

スティーブンソンが 乗った船は 

貨物船「ラッドゲード・ヒル」号

目指すは ニューヨーク

     

乗船客は にんげんだけでは ありませんでした

チンパンジー

ヒヒ

サル

ウマ

    

 

 わたしはドアの すぐそばで

 ふしぎなもの見て おどろいた

 マント羽織った チンパンジー

 ヒヒをあいてに トランプ・ゲーム・・・

 5ひきのサルが しっぽ立て

 ウマもまけじと みみを立て

 あんじたとおり やってきた

  (訳文はこのような感じです)

 

 

食事の場面

 ガチャン ガラガラ おおさわぎ!

 おさらは床まで とんでいき

 いたずらずきの マントヒヒ

 スプーンうばって にげてった

 ウマもまけずに いなないて

 もっとよこせと ねだっている

 

 

嵐の場面

 ガチャガチャ ガタガタ おおさわぎ!

 ウマごやの戸が あいたのだ

 めすウマ1とう にげだして

 サルとわたしを おっかける

     

   

嵐が おさまると、

チンパンジーが 舵を とっていたり

ウミウマが 羅針盤を まもっていたり

びっくり

でも、

無事に ニューヨークに到着

   

   

 「ラッドゲード・ヒル」とおわかれだ

 手に手をとって ふたりずつ・・・

 足どりかるく おりていく

 希望のくにに おりていく

       

        ・・・

「わたしたちの厩舎船はすてきでした」

「あの船に乗っていたとき、わたしはあまりにも幸福で、こんな幸福がこの世にありうるとは信じられませんでした」(スティーブンソンの手紙)

    

脚韻と音数律をいかしたリズム感のある訳文です。原作の詩がそうなのでしょう。絵は、『栄光への大飛行』『たまごってふしぎ』『いろってなあに?』の作家、アリス&マーティン・プロベンセンです。

     

        ・・・

※『スティーブンソンのおかしなふねのたび』 ナンシー・ウィラード文、アリス&マーティン・プロベンセン絵 平野敬一訳 ほるぷ出版 1990年  (2025/5/18)

SHARE