ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ショッキングピンク・ショック!』- 期待どおりの作品なんて、まっぴら!

「ショッキングピンク」を生んだファッションデザイナー、

エルザ・スキャパレリ(1890-1973)の伝記絵本です。

    


ローマの裕福な家庭に生まれた エルザ

お姉さんは「かわいい子」

母さんのお気に入り

わたしは?

「みにくい子」

     

     

7歳になるころ

美しいって、なんだろう?

って、考える子でした

想像力の豊かな子でした

アーティストの芽が ぐんぐん のびていきました

    

  

パリ、ロンドン、ニューヨーク

結婚し、生活も 変わりましたが

服づくりは ずっと 続けました

離婚をして、パリに戻りましたが、成功には ほど遠い毎日でした

でも、

親友から ダリ、ピカソ、ジャコメッティを 紹介してもらえました

  

  

ある日

あみものの名人 マイクと 出会います

    

 「わたしのデザインしたセーターを、

  いっしょにつくってくれませんか?

    

 「やってみましょう」

     

ふたりは

セーターを 

つくっては直し、つくっては直しました

思いえがいた、セーターになるまで けっしてあきらめませんでした。

   

 ついに、完成!

    

このとき わたしは 37歳

     

   

わたしがつくる ユニークな服は 女性たちを ひきつけました

作品のアイディアは どんどん 生まれてきます。

レースとレザー、毛糸とセロファン、木の皮のような布とベルベットの組み合わせ

 

 期待どおりの作品なんて、まっぴら!

      

    

花の色を、どんどん作品に していきました

赤、ふじ色、うすい青むらさき、緑・・・

そして、ピンク

    

アーティストの クレマンが 

ピンクに 赤を たしました

   

 「もっと足して」

     

なんかいも やり直し、

ついに 完璧な ピンクができました。

情熱的で、はじけそうな ピンク!

わたしは、「ショッキングピンク」と なづけました。

    

   

作品のすべてが うまくいったわけではありません

でも、服をつくり続けて ありのままの自分に なれました

自由になれたのです

あたらしい種も まきました

     

    

 型やぶりで、かんぺきではない美しさ

 かしこくて、強くて、どこかこっけいで、

 ゆめのような、情熱的な美しさです    

    

            ・・・・

エルザ・スキャパレリは、若い頃は、不安やコンプレックスを抱え、成功とはほど遠く、みじめな思いも体験しました。でも、そうした中でも、服作りにかける情熱は失いませんでした。一枚のセーターのデザインをきっかけに、お店を開き、これまでの常識をうち破る個性的な服、大胆さと遊びごころのある服、女性が着てみたい服をつくり続けました。それは、あたらしい美しさと あたらしい生き方を提案でもありました。

      

彼女の生き方は、これからの人に、特に女性に力強いメッセージをあたえています。

 

巻末にスキャパレリの発明したもの、ファッションに取り入れたことなど彼女の成し遂げたことについて、作者たちの解説があり参考になります。

      ・・・

※『ショッキングピンク・ショック!』 キョウ・マクレア文、ジュリー・モースタッド絵、八木恭子訳、フレーベル館 2018年  (2025/7/7)

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