
「おおきなはこ」が、どんどん変身していきます。
クリスティーナは、
空きかんや、動かなくなった時計、よれよれのネクタイ……を集めています。
でも、いちばん すきなのは、はこ。
はこが 大きければ 大きいほど、わくわくします。
ある日
あたらしい 冷蔵庫が とどきました。
「うわー、こんな おおきい はこ、見たこともない!」
おとうさんが はこに あなを あけてくれました。
クリスティーナは、ペンキで 塔を かきました。
おおきな はこは 「お城」になりました。
お隣りの ファッツが
お城に 忍び込み
お城を けとばし、たおしてしまいます。
クリスティーナは、
はこを こんどは 「ひみつきち」に しました。
でも、
いっしょに あそんでいた ファッツが、
箱のてっぺんに よじのぼると・・・
やねが つぶれて しまいました。
クリスティーナは、こんどは 「レーシングカー」にしました。

また、ファッツが エンジンの調子がよくない、と言って
のこぎりで はこに あなを あけると・・・
レーシングカーは ぺっしゃんこ
こんどは?
お屋敷の ゆか
クリスティーナはと ファッツは、はだしで おどりつづけました
ファッツは、よごれた 床を きれいにしょうと
水を ぱしやぱしゃ
モップで ごしごし
床は あっというまに ぼろほろに なりました。
おかあさんが いいました。
「おやしきの ゆかは、もう おしまいね?」
「ゆかって なんのこと?
この ぼろぼろの 箱なら、すてちゃって いいよ!」
ファッツが ダンボール箱を ふたつ 持って やってきます。
「ファッツの おかあさんが、せんたくきと かんそうきを かったんだって
はこの ふねに のって、うみへ こぎだそうって、ファッツと
やくそくしたの! いいでしょ?」
・・・
冷蔵庫のダンボール箱は、お城、秘密基地、レーシングカー、お屋敷の床にどんどん変身していきました。クリスティーナの想像力・創造力がすばらしい。大人にとって、ダンボール箱はただのゴミかもしれませんが、子どもにとっては「たからもの」にもなります。読者は、クリスティーナと同じことをやってみたい気持ちになるでしょう。幼稚園や保育園の子どもたちは、実際に「秘密基地」をつくるかもしれません。子どもを遊びに誘う絵本です。
アメリカで50年以上まえに刊行され、多くの教科書に掲載されているそうです。
・・・
※『クリスティーナとおおきなはこ』 パトリシア・リー・ゴーチ作、ドリス・バーン絵、おびかゆうこ訳 2014年 (2025/2/2)