この絵本の主人公は、
アンドリュー・ヘンリー・サッチャー。
おとうさん、おかあさん、ふたりの姉さん、ふたりの弟の7人家族です。
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アンドリューは
ものづくりが 大好き。ものづくりに 夢中。
でも、家族のみんなは、彼が作るものが 「じゃま」「迷惑」。
「じぶんだけの、ひみつきちをつくるぞ」
アンドリューは、家を 出た。
牧場を よこぎり
丘を こえ
沼を わたり
森へ はいり、
原っぱに たどりついた。
「ここに ひみつきちを つくろう」
壁は 土と石と丸太。
屋根は もみの木の 枝。
しばらくすると
アリス・バードックが やって来た。
ツリーハウスの 秘密基地を つくってあげた。
ともだちたも やってきた。
ジョージ・ターナー
ジョー・ボラスキー
ジェーン・オマリー
マーゴット・ラポート
サラ・ラーナー
ドン・ピーターソン
スタンリー・ヘイズ
みんなの 秘密基地が 出来上がった。
村みたいに なった。
スタッブス村の人たちは、子どもたちを 探し始めた。
必死で さがしまわったが
見つからない。
アンドリューの犬、サムが 牧場をめざして 駆けだした。
みんなは、サムに したがい、
ついていく。
丘をこえ、
沼をわたり
森へずんずん はいっていく。
やがて、原っぱに たどり着いた。
こどもたちがいた!
みんな 大よろこび。
あんまり うれしすぎて、誰も叱らない。
あれこれ たずねたりもしない。
子どもたちも うれしかった。
家に そろそろ 帰りたかったから。
家にもどると、
地下室が ひみつきちに なった。
家族のための ものづくり工場だ。
アンドリューは このひみつきちに 大満足。
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アンドルーの作ったもの、みんなが建てた秘密基地には、魅力的なものががいっぱいです。台所のヘリコプター、リビングルームのワシの檻、ミシンでまわすメリーゴーラウンド、自動ドアにロープウェイ、水車で動く自動うちわ、ツリーハウス、塔のあるお城みたいな家・・・ これらは、子どもたちの想像力・創造力の産物です。
自立したい子どもたち、自分の居場所を探す子どもたちです。語り手はかれらを温かな視線で見守ります。
また、歯切れのよい常体の文章が、アンドリューたちの行動をいきいきと表現しています。モノクロームの線画は、人物たちのしぐさ、行動、表情をしっかりと描かれています。
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※『アンドルーのひみつきち』 ドリス・バーン文・絵、千葉茂樹訳、岩波書店 2015年 (2024/9/5)