イタリアの 小さな公園に、
3頭の ロバと
1頭の ポニーが いました。
子どもを カートに乗せて 公園を 回っていました。
ポニーは、ピッコという名でした。
ロバたちは、のんびり ゆっくり歩くのに、
ポニーのピッコは、
いつも 駆け足で あっという間に、公園をまわります。
だから、子どもたちは、ピッコに 乗りたがりませんでした。
ピッコは、どこか 悲しそうです。
アルフレッドと ジーナは、
ピッコを 元気にして あげたいと思いました。
「ピッコは、ほしいものが あるのかな」
にんじんも、りんごも、キャンディも、ココナッツケーキも
ピッコを 元気に しませんでした。
「お花が すきなのかな」
「絵本を よんでみたら」
でも、だめでした。
アルフレッドと ジーナは、
誕生日に おかねを すこし プレゼントされました。
それは、公園のカートに 3回乗れる分でした。
ふたりは、
お金を持って、
ピッコの飼い主に、カートから ピッコを はずしてもらいました。
ピッコを カートに 乗せました。
ふたりは、カートの柄を にぎって 走りだしました。
飼い主の おじさんは 怒りました。
でも、みんなが さけびます。
「ポニーだって、カートに のって いいじゃないか」
ほかの子たちも、ろばを カートに乗せ、走り出しました。
ピッコは?
目をぱっちり ひらいて キラキラと かがやかせていたのです!
だれよりも うれしそうでした。
ピッコやろばを カートに乗せるという、ユーモアのあるはなしです。
悲し気なピッコのため、アルフレッドとジーナは、にんじん、りんご、おかしをあげたり、花をもっていったり、絵本を読んであげています。飼い主のおじさんと交渉し、自分の意見をしっかり言うふたりです。そして、ふたりは、ピッコを カートに 乗せて 走りだしました。
ピッコのことを思いやる、アルフレッドとジーナの優しいこころを、読者は理解します。そして、このような人物をかいた作者のこころも分かります。子どもたちに出合わせたい、スロボトキンの絵本です。
・・・
※『わらってよ ピッコ』 ルイス・スロボトキン作・絵、こみやゆう訳、福音館書店 2022年 (2024/11/13)