アケミちゃん、シーちゃんと あたしが、
想像の世界のなかの 「おぼけ寄席」に はいりました。
・・・
学校の帰り
アケミちゃんと けんかした あたし。
シーちゃんは まんなかで オロオロ。
あたまにきて、駆けだした。
スッテ―ン!
いたーい。
ころんだのは アケミちゃんのせいだ!
あったま きちゃう
おかあさんに おこられたのも
お風呂で 傷が ズキズキするのも
眠れないのも、
みんな アケミちゃんのせいだ!
ン?
あれ?
鏡を みたら
あたし・・・
あたし・・・
おにに なっちゃった。
つのも あるよ。
そのとき、洋服ダンスの とがあいて、
はやく しなさいよ、
だれかが あたしを ひっぱった。
シーちゃん!?
ふたりで 真っ暗闇を はしって いくと・・・
ついたところは おばけ寄席
寄席のなかは みんな オバケだらけ。
オバケが 笑ってる !
おばけ寄席の 演目は・・・
春風ルンバ サンバの 漫才
からかさダンサーズの 踊り
ボーンボーンブラザーズ&シスターズの 手品、曲芸、音楽
ぬりかべ亭ジャンボの 落語(「寿限無」)
すごーい すごーい
テレビでも 見たことないよ。
パイポパイポ パイポの・・・
このはなし あたし しってる。
あーあ、寄席 おわっちゃった。
あ、アケミちゃんが いる。
アケミちゃんも みていたんだ。
「ぶぁっはっはっはっ」
「きゃはははは・・・」
ふたりで おもいっきり 笑った。
それからね、アケミちゃんと しーちゃんと あたし
真っ暗闇の なかを 帰ったよ。
つぎの日の
学校のかえり
また アケミちゃんと けんかした。
・・・
迫力ある表紙の「あたし」。タイトルは、「わらっちゃった」なのに、怒った「あたし」の顔です。何があるのでしょう。読者の興味をひく表紙です。読者への仕掛けです。
アケミちゃんと喧嘩した「あたし」。一人称視点ですので、アケミちゃんとケンカした「あたし」の気持ちがよくわかります。「あたし」の頭につのが生えたり、タンスの戸からおばけ寄席にはいる、奇抜な展開ですが、「からかさダンサーズの踊り」など、オバケ寄席の舞台は笑えました。
裏表紙は、「あたし」のおおきな笑い顔です。
おはなしで 笑いました。
絵でも 笑わいました。
・・・
※『わらっちゃった』 大島妙子作、小学館 2006年 (2024/12/10)