
ゆうきくんの成長を見守る者たちには、こんな仲間もいました。
ゆうきくん、おかあさん、おとうさんが お出かけする時に
ひらかれる るすばんかいぎ
出席者は
つくえ、いす、ごみばこ、くつした、れいぞうこ、ベビーベッドたち
司会は とけいです
「るすばんかいぎを ひらきます。
わたしたちは、ゆうきくんが おおきくなるよう、おうえんしています。
このごろ、ゆうきくんは どんな ようすか、はなしください!」
れいぞうこは あけっぱなし、
ごみばこは くつしたが 飛んでくる、
くつしたたちは、「ぼくのかたっぽどこいった」と、
みんな、ゆうきくんへの 不平不満を いいだします
そのとき、ベビーベッドさんが 言いました
「みなさん、ゆうきくんが うまれたときのことを、
おぼえていらっしゃいますか?」
みんな、赤ちゃんだったゆうきくんを 思いだしました
れいぞうこは
おおごえで いいました
「わたしに つかまって はじめて たったんです」
ティッシュペーパー
トイレットペーパー
さっさか ひっぱりだされ
くるくる ひきだされたことを おもいだしました
トッケ トッケと 指さされた とけい
やさしく なでてもらった つくえ
ひきだしは、スタンドに 言われて
おかあさんへの プレゼントを みんなに 見せました
それは・・・
おてつだい券
マッサージをしてあげる券
せんたくものをたたむ券・・・
リロ リロ リロ リロ
とけいが きゅうに さけびました
「かえってきます!・・・るすばんかいぎを おわります
これからも、ゆうきくんを おうえんしましょう」

「ただいまあ~!」
ゆうきくんの 声が うちじゅうに ひびきます
・・・
ゆうきくんの成長を見守ってきたものたちの「るすばんかいぎ」。みんな、愛情豊かにゆうきくんの成長を見守っています。つくえ、いす、ごみばこ、れいぞうこ、ベビーベッドたちが、ゆうきくんの成長を見守っているとするならば、おかあさん、おとうさんのことは言わずもがなです。読者の子どもたちも、言外のこの意味がわかることでしょう。
子どもは、みんなに支えられ愛されて、みんなの期待に応えようとして、大きくなります。
・・・
※『るすばんかいぎ』 浜田桂子作 理論社 2019年 (2025/5/3)