けんちゃんが、森の中でであう、不思議な世界。ファンタジーの絵本です。
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けんちゃんは、
いぬの タロといっしょに 牧場のおてつだいを します。
うし、にわとり、ぶた、めんよう、やぎたちの お世話が、終わり、
けんちゃんは、
森へ あそびに いきました。
森で おじいさんに 会いました。
おじいさんは、
今夜、もりのどうぶつたちの お祭があるから、
いっしょに 遊ぼうと けんちゃんを 誘います。
「ぼうやの うちの どうぶつたちを つれておいで」
夜、
けんちゃんと タロは、
うし、ぶた、めんよう、やぎ、ねこと いっしょに
夜の森へ でかけます。
「よくきた、よくきた、
さあ、もりのどうぶつたちが おくで まってるよ」
くま、りす、きつね、いたち、たぬき、うさぎたちが
焚き火を 囲んでいます。
おじいさんは、
たくさんの お面を だしてきました。
「おめんを かぶって おどろう」
うしは とらになり もう もう
ぶたは ぞうになり、 ぶう ぶう
きつねは うまになり こん こん
タロは うしになり わん わん わん
けんちゃんは らいおんに なって うおー うおー
みんな、朝まで、おどりました。
「またらいねん このもりで げんきであおう」
さようなら さようなら
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おめんをかぶり、どうぶつたちは、二本足で立って踊っています。その様子は、どこかコミカルな感じです。また、おじいさんにもらった、らいおんのお面は、いま けんちゃんのベッドに あります。どうぶつたちと踊った体験のなごりです。
ファンタジーを成り立たせる条件のひとつに、「けんちゃん」がいます。けんちゃんは、森の中のどうぶつたちの不思議な世界を信じることのできる年ごろの子どもです。視点人物のけんちゃんが、もう少しおおきかったら、あるいはちいさかったら、この世界は成り立たないでしょう。
中谷千代子(1930-1981)さんは、『ジオジオのかんむり』『かばくん』『モモちゃん絵本(初版) 』『くいしんぼうのはなこさん』など、たくさんの絵本を描かれました。
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※『もりのまつり』 中谷千代子文・画 福音館書店 1971年 (2024/9/8)