ふるはしかずおの絵本ブログ3

『もりのなかを とおるのはだあれ?』 

「くりかえし」を用いる絵本の典型で、工夫にみちた表現です。

     

       ・・・

そこを とおるのは だあれ?

もりのなかを とおるのは だあれ?

  

「ぼくだよ」とアライグマ

「ふさふさした しましまのしっぽが じまんの

 ぼくが とおるよ」

 

     

おがわは、

「わたしは ぶくぶく あわをたてながら ながれていくの」といっています

  

  

いま、そこを とおるのは だあれ? 

 

「おれだよ」とビーバー

木の枝と ダムをこしらえている ビーバーは いそがしそうです。

     

   

カワウソ

ネズミ

くまの おにいさん

ノウサギ

アカリスが、

とおりすぎます。

    

もりをぬけて あるいてくる、このこは だあれ?

おとこのこ

  

おとこのこは、

ビーバーを 観察し

カワウソを わらい

ノウサギを おどろかせ

おがわの水を 飲み

道を いそぎながら、うれしそうに わらいます。

     

 

アカリスの 巣を みつけ

あさごはんを たべる アライグマも じっと ながめ

すみかに もどる ネズミも 見た

とおりすぎる クマの 音も きいた

ぼくです

  

  

 「ぼくは、さわさわゆれる くさむらの かげで

  このノイチゴを みつけたんだ!

   

         ・・・

絵本の文章は、とてもリズミカルです。くりかえしですが、人物たちが違い、言っていること、していることが違います。そして、最後にぼくがやって来ます。ぼくに焦点が当たります。そしてもう一度、ぼくが見つけ、驚かせた人物たちのことを振り返ります。いろいろな動物たちが住むゆたかな森です。

         

「くりかえし」の表現方法を活用する絵本の文章の典型の一つだと思います。変化・発展するくりかえしです。アルビン・トレッセルトは、「M. W. ブラウン、L. ワイズガードとともに 1940年代末から50年代にかけて、新境地を開発した作家」( 20世紀西洋人名辞典 )と評価されています。ロジャー・デュボアザン

      

           ・・・

※『もりのなかを とおるのはだあれ?』 アルビン・トレッセルト作、ロジャー・デュボアザン絵、石津ちひろ訳、好学社 2024年  (2025/2/6)

SHARE