ふるはしかずおの絵本ブログ3

『もぐらとずぼん』― みんなでズボンをつくる

さいごは、青いすてきなズボンが できあがりました。

  

もぐらは、

青いずぼんが ほしてあるのを 見つけ、

ずぼんが ほしくて たまらなく なりました。

 

 「どこへいけば てにはいるのだろう」

   

   

えびがには、きれがあれば 切ってあげる、

よしきりは きれがあれば、縫ってあげる と言いました。

亜麻の花が 言いました。

   

 「わたしの いうとおりにすれば、ずぼんが てにはいるわ

    

   

もぐらは 

せっせと 亜麻を そだてました。

ある日、亜麻は いいました。

 

 「さあ、こんどは わたしをぬくのよ

    

亜麻を ぬいたあと、

もぐらは、どうぶつたちに 手伝ってもらいました。

 

  

 かえるは 亜麻を 水にひたし、ほして くれました。

 こうのとりは 亜麻のくきを おりまげ、

 はりねずみは 亜麻のくきを すきました。

     

 くもは いとを 紡ぎました。

 こけももが いとを 染めます。    

 くわがたむしが いとを きります。

 ありが いとを はこびます

     

   

ありたちは はたおり機を つくり、

せっせ せっせと 織りました。

虫たちが 木のえだから、草のなかから 応援しています。

   

 なんて すてきなきれだろう!

   

もぐらは 

きれを えびがにの ところに もっていって

ずぼんの かたちに 切って もらいました。

よしきりは ぬって あげました。

   

 なんてすてきな ずぼんだろう!

 なんてすてきな ぽけっとだろう!

     

ずぼんは それはそれは もぐらに よく にあいました。

    

       ・・・

みんなの協力や応援があって ずぼんは仕上がりました。

もぐらのことばです。

「ぼくは、あまをそだてた。かえるといっしょに みずにひたしてかわかした。こうのとりが、おりまげてくれて。はりねずみが、すいてくれた。くもが、いとをつむいでくれた。こけももが、そめてくれた。ありが、きれにしてくれた。えびがにが、たってくれた。それを きみ(よしきり)が ぬってくれたというわけさ」

      

亜麻を育て、亜麻から糸を紡ぎ、染め、織り、裁ち、縫い上げる工程を語ることで、読者はみんなが力をあわせ、ズ本をつくったことを再確認します。

チェコの絵本です。

       ・・・

※『もぐらとずぼん』 エドワルド・ペチシカ文、ズデネック・ミレル絵、内田莉莎子訳、福音館書店   1967年  (2025/3/15)

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