
スペイン、カタルーニャ地方の昔話です。
主人公は、パトゥフェ。
まめつぶくらいの 小さな 男の子です。
パトゥフェは、
なんでも やりたがり、
どこにでも いきたがり ました。
ある日、
おかあさんが、サフランを 買ってくるように たのみます。
パトゥフェは、歌をうたいながら、でかけました。
パタン パティン パトン
さあさあ みんな よけとくれ
パタン パティン パトン
ふむなよ ふむなよ
パトゥフェが いくよ
つぎは、
とうちゃんに、お弁当を 届けにいきました。
パタン パティン パトン
さあさあ みんな よけとくれ
パタン パティン パトン
ふむなよ ふむなよ
パトゥフェが いくよ
途中、雨に降られ、
パトゥフェは、キャベツの葉っぱの うらに もぐりこみました。
でも、キャベツの葉っぱと いっしょに
牛に 食べられて しまいました。
おひゃくしょうさんと おかみさんは、パトゥフェを さがしました。
すると、
ぼくは うしの おなかの なかさ・・・
牛が ブ~ッと おならを すれば
ぼくは 外に とびだすよ
うしが、おならを したので、
パトゥフェは 外に とびだして、
塀に スポンと、はまりましたとさ。

パトゥフェの歌もある、たのしいスペインの昔話です。牛に食べられたパトゥフェが、牛のおならで、外に飛びだすというシーンは、とてもユーモラスです。
作者の宇野和美さんの「訳者のいいわけ」(ホームページ)で、いろいろなことを教えてもらいました。その一部です。
ホアン・アマデスの『カタルーニャ民話選集』が原典です。ホアン・アマデスは、カタル―ニャの伝統、習俗について、何冊にもわたる本を書いた民俗学者で、柳田國男とほとんど同時代人でした。カタルーニャの人々にとって、「パトゥフェ」はアイデンティティの一部といってもいいほど大切な存在だそうです。
・・・
※『まめつぶこぞう パトゥフェ』 宇野和美文、ささめやゆき絵、BL出版 2018年 (2025/3/26)