
クラゲに夢中の モーリー博士。
誰も 見たことのない まぼろしの巨大クラゲを 見つけようと
博士と 研究チームは、
北の海へ 冒険に 乗りだします。
北極圏で
イッカクの群れ
シロイルカの群れに であいます
でも、巨大クラゲの すがたは どこにも 見えません
【中途の解説】
絵には 巨大クラゲが 描かれています。
「人物は知らないのに、読者は知っている」のパターンです
シャチが 泳ぐ、そのすぐそばに います
何週間も すぎました・・・
オーロラを 見上げている、巨大クラゲが います
みんなは オーロラは見えても、巨大クラゲは見えません
でも、読者は、知っています
もしかして、巨大クラゲなんて、本当は
ただの 作り話なんじゃないかなあ?
巨大クラゲ、いったい どこに いるんだい?
ボートの下に います
チームの みんなは 知りません
でも、読者は 知っています
博士たちは、なにも 見つけることが できませんでした
博士は ひきかえすように 号令をだしました
でも、巨大クラゲは、船のそばにいます
チームの みんなは 知りません
でも、 読者は 知っています
待って、もしかして あれは・・・
・・・
「人物は知らない。でも読者は知っている」パターンの典型的な絵本です。これが読者の絵本体験をつくります。
博士たちの近くいる巨大クラゲ。でも、彼らはそれを知りません。読者の子どもは、「そこにいるよ!」と博士たちに教えたくなります。読者は、このようにして絵本に参加します。また、クラゲが見えていない博士と研究チームの行動を異化してみると、かれらの行動がユーモラスに見えてきます。
最後のことば、「待って、もしかして あれは・・・」は、語り手のことばですが、博士のことばのようでもあります。ハッピーエンドを予測させます。
イッカク、シロイルカ、オーロラ、しろくまなど北極海に生きるどうぶつたちにも目がいきます。
・・・
※『まぼろしの巨大クラゲをさがして』 クロエ・サベージ作、よしいかずみ訳、BL出版 2024年 (2025/5/10)