ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ふゆごもりのまえに』- 冬も楽しいことがいっぱい

はりねずみのハリーは、ほんものの冬を 見たことがありません。冬眠をするからです。そんなハリーのはなしです

     

          ・・・

ハリーは 

冬眠をする前に、農場を ひとまわり することにしました。

 

めんどりに 会いました。

      

 「ハリーは おねんねの じかんね。・・・

  わたしたちの うちには きらきらの つららが さがるのよ」

    

       

がちょうが はなしかけて きました。

   

 「春まで げんきでな。

  ぼくらは こおった いけで すべって あそぶよ」

   

      

ひつじが やってきました。

 

 「リサがつくる ゆきだるまが たのしみだね

    

      

やぎの ビリーも

ぶたたちも

ポニーも 冬のたのしさを ハリーにつたえます。

    

    

ハリーは、

すてきな 冬を 見ようと、

よし、ことしは 寝ないぞ

冬じゅう おきていよう と思います。

   

  

凍えるような 夜

リサが、ハリーを 見つけ 家の中に つれていきます。

    

   

翌朝

ハリーは おおよろこび。

外は いちめん 雪で 輝いています

    

まいにち ちがう 冬景色を 見ました。

スケートをする リサと がちょうたち

ゆきだるま

鈴を ならしながら 走るポニー

   

 とうとう ほんものの ふゆを みたぞ

    

そう 思ったところで、

ハリーは すうっと 眠りに おちていきました。    

リサは ハリーを すあなに もどしてあげます。

     

   

リサが 家に はいろうとすると・・・

どすん どすんと おおきな音が きこえます。

どうぶつたちが、みんな 家の中に はいっています。

    

   

 「こらあ、いえに はいっちゃ だめじゃないの!

    

リサは 笑いながら、言いました。 

    

ハリーは?

暖かい すあなで ふかい 眠りに ついていました。

   

       ・・・

季節は冬ですが、どうぶつたちに対する、リサ、語り手、作者の温かい目と心が感じられる絵本です。雪景色のうつくしさや冬の楽しさを知らないハリー。読者はハリーに同化しながら、寒いだけではない、冬の楽しさを体験します。

         

写実的な絵ですが、どうぶつたちの表現は、すこし擬人化されています。とくに、ぐっすり眠るハリーの表情には満足げな表情が見えます。丁寧に描かれた絵からいろいろな発見があります。絵を読む絵本です。

       

『ぼうし』の姉妹編です。本作と同じく、ハリネズミのハリーとリサが登場しています。

       ・・・

※『ふゆごもりのまえに』 ジャン・ブレット作・絵、こうのす ゆきこ訳、福音館書店 2020年  (2024/12/14)

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