
韓国の 昔ばなしです。
雨の降る日でした。
おじいさんは ひるね。
おばあさんは ぬいもの。
すると、
おじいさんの 鼻から
ちいさな しろねずみが でてきました。
しろねずみは
ちょろちょろ 走りだし、外に でました。
しろねずみが 水たまりを 渡れずにいると、
ばあさんは ものさしを おいて、
橋を かけて あげました。
おばあさんが、つけていくと、
しろねずみは
道端の 牛のふんを みつけ
ぱっくん ぱっくん たべました。
「こいつは おいしい きびもちだ」
しろねずみは、
ずんずん はしって、石垣のあなに はいってしまいました。
「じぶんのうちを みつけたんだね。
たらふく くって たっしゃで くらせ」
家に帰った おばあんが ぬいものを はじめると
あの しろねずみが おじいさんの 鼻に はいっていきました。
おじいさんは、起きあがると、言いました。
「おかしな ゆめを 見たもんだ」
「どんな ゆめを 見たんですか」
しろねずみの夢を おばあさんに 語ります。
きびもちを たべて 元気が でたんで、
ずんずん行くと、ほらあなが あってな・・・
「なかに はいってみたら たまげたのなんの、
つぼに こがねが ざっくざく!」
「おじいさん そこへ いきましょう」

おじいさんと おばあさんは、石垣の 地面を ほると
つぼが あらわれ、
こがねが どっさり。
それからというもの ふたりは
いつまでも しあわせに くらしたということです。
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おじいさんの鼻から、ちいさなしろねずみが出たり入ったりするところは、とてもユーモラスです。
前半は、青を基調とした色使い、後半は黄色が主調色になります。青とこがねの黄色のコントラストが、鮮やかです。黄色(金色)は、ふたりのこころの内を表現しているといえるでしょう。
あとがきの解説によると、韓国には「隠してあるものは、ねずみが守ってくれる」ということばあるそうです。また、ものさしは、「古くから、正義をはかったり、生命をつかさどるものと考えられて、たいせつにされてきました」。
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※『ふしぎな しろねずみ』 チャン・チョルムン文、ユン・ミスク絵、かみやにじ訳 岩波書店 2009年 (2025/2/19)