子どもたちと校長先生の触れ合いをえがいた はなしです。
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かえで小学校には、
運動場につづく 遊び場が あります。
でも、
こうすけが 遊び場の 一本橋ですべって、骨をおってから、
立ち入り禁止に なってしまいました。
春
こうすけも、元気になって 2年生です。
遊び場を あけてもらおうと、
あたらしい校長先生に お願いしました。
校長先生は、
びゅんびゅんごまを とりだして いいました。
「まわせるようになったら、
たのみを きこうじゃないか」
みんなが まわせるように なると、
校長先生は 2つの びゅんびゅんごまを 回しています。
みんなが 2つの びゅんびゅんごまを 回せるようになると、
校長先生は 3つの びゅんびゅんごまを 回しています。
3つができると 4つの びゅんびゅんごまです。
それから 何日も たちました。
こうすけは
4つのこまも じょうずに 回すことができました。
「あそびばの かぎを あけてください」
「ちょっとだけだぞ」
「あそびばを かえしてください」
「らいしゅうの しょくいんかいぎに かけてからだ」
8日目に
遊び場の かぎは あけられ、
もういちど 子どもたちの遊び場に なりました。
カラスノエンドウの さやぶえの音が きこえます。
シビ ビー ビー
シビ ビー ビー
こうすけたちは、
校長先生に さやぶえを プレゼントして、
「あしたの ちょうれい」で 吹いてくださいと お願いします。
朝礼の朝
校長先生と こうすけは、
4つの びゅんびゅんごまを まわします。
たかひろと くによが くさぶえを じょうずに吹きました。
その日から、さやぶえも、びゅんびゅんごまも おおはやりです。
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かえで小学校は、木造2階建ての校舎として描かれています。びゅんびゅんごま、柿の実の首飾り、たけうま、たんぽぽのおひな様、カラスノエンドウのさやぶえの遊びも、どこか懐かしい感じがする遊びです。絵本の初版は1982年です。40年以上も前の作品ですが、もっと昔の小学校が舞台のように見えます。作者は宮川ひろ(1923-2018)さんです。
こうすけたちの遊びにかけるエネルギーが素晴らしい。子どもの遊びへのパワーは、形を変えて、いまもあることでしょう。また、さやぶえを吹くことはできませんでしたが、子どもと正面から向き合う校長先生も魅力的な人物です。
林明子さんは、子どもたちと校長先生のしぐさや表情をゆたかに描いています。
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※『びゅんびゅんごまがまわったら』 宮川ひろ作、林明子絵、童心社 1982年
【追 記】
4つのびゅんびゅんごまを回す映像、カラスノエンドウのさやぶえの作り方と鳴らし方は ネットにいくつも紹介されています。 (2024/9/23)