ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ひよこの かずは かぞえるな』-「とことん 悪いわけでもないさ」

たまごを売りに出かけるとちゅう、おばさんの夢が ひろがりますが・・・

     

        ・・・

 こけこっこー

     

めんどりが 卵をうみました。

おばさんは、喜んで 言いました。

   

 「うちのめんどりは まいにち、かならず うんでくれる

 

卵が 36個。

おばさんは、町へ売りに でかけます。

   

     

途中、

おばさんは 考えました。

たまごを 売ったお金で

めんどりを 2羽 買いましょう

3羽に 増えためんどりが、また卵を 産むわ。

たまごは 3倍。

 

市場で 3羽の にわとりを かうと・・・

めんどりは 6羽に なるだろう。

 

鳥小屋が いっぱいになり、

がちょうを 2羽

子羊を 1匹

わたしの貯金箱は もう いっぱい。

     

 

女中と 下男を 雇い、

贅沢三昧が できるわさ。

結婚を もうしこまれ、

わたしは いそいそ 結婚するね。

 

わたしは、広い農場の 奥方様。 

品がよくて、だれにでも 鼻をそびやかしてくれるわさ。

こんなふうに 鼻を・・・

 

  ぴしゃん!

 

    

たまごは割れ、夢も失った おばさん。

でも・・・

     

 

   

なぜって

すてきなめんどりが いてくれるだけでも、しあわせだもの。

     

       ・・・

楽天的で前向きに生きるおばさんです。彼女の表情の変化は、みどころのひとつです。夢の世界にどっぷり浸っていると、現実にしっぺ返しされる「捕らぬ狸の皮算用」ですが、自分の失敗にくよくよせず、機を転ずるおばさんです。「とことん 悪いわけでもないさ」の人生観があります。

 

タイトルをもじって言えば、「割れたたまごはかぞえるな」

    

          ・・・

※『ひよこの かずは かぞえるな』イングリ・ドーレア エドガー・バーリン・ドーレア作・絵、瀬田貞二訳、福音館書店  1978年  (2024/7/27)

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