ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ひよこのコンコンがとまらない』- くりかえしの表現のおもしろさ

くりかえしの表現がおもしろい、北欧の むかしばなしです。

     

    

あるとき、

ひよこの タッペンが おおきい種を のみこみ、

コンコン、コンコン・・・とせきが とまらなくなりました。

    

 さあ、たいへん 水をのませなきゃ

    

コッコさんは 水を さがしに とんでいきました。

いずみ(泉)がありました。

    

 「いずみさん、いずみさん 水をすこしちょうだい

 「コップを もってくれば わけてあげるよ

    

コッコさんは カシの木に たのみました。

    

  コップを1つ ちょうだい。コップがなければ、

  いずみの水が くめない、みずがなければ、

  タッペンの コンコンが とまらないの

    

  だれかが えだをゆすってくれたら、コップをあげるよ

 

 

つぎは

きこりのむすこは くつを ほしがり

くつやは 皮を もってくればと 言い

めうしは トウモロコシが 欲しいと 言い

おひゃくしょうは 鋤を もってくれば、

トウモロコシを わけると いいます。

  

     

コッコさんは かじやまで かけていきました。

 

 

 かじやさん、かじやさん、すきをつくってちょうだい

 すきがなければ おひゃくしょうが トウモロコシを わけてくれない

 トウモロコシが なければ、めうしが かわをくれない

 かわがなければ くつやさすが くつをつくれない

 くつがなければ ぼうやは カシの木のえだをゆすれない

 ゆすれなければ カシの木が コップを くれない

 コップがなければ いずみの水が くめない

 水がなければ タッペンのコンコンが とまらないの

    

 鉄をもってくれば すきを つくってやるよ

   

   

コッコさんは 鉱山の こびとたちに たのみました。

それは たいへん。

こびとたちは、鉄を どっさり はこんできてくれました。

    

  

その鉄で かじやさんは すきをつくり、すきで おひゃくしょうさんは、トウモロコシをとり、トウモロコシをもらって めうしは 皮をくれ、皮で くつやさんは くつをつくり、くつをはいた きこりのむすこは カシの木を ゆすりました。カシの木は コップを おとしてくれました。

 

 

コッコさんは タッペンに 水を持っていきました。

ゴックン、ゴックン

タッペンの コンコンは ぴたりととまりました。

   

      ・・・

めんどりのコッコさんは、ひよこのタッペンをたすけよう大奮闘でした。途中はハラハラドキドキですが、読者は、母親の愛情を感じることでしょう。でも、コンコンがとまったタッペンは、はじめから なんにもなかったように 草のなかを つっつきはじめました。

たのしい語りです。

      ・・・

※『ひよこのコンコンがとまらない』 ポール・がルドン作 福本友美子訳 ほるぷ出版 2007年

SHARE