
ふうちゃと くまのこたちの おいかけっこに 春が来たよろこびがあらわれています。かたくりの花、こぶしの花が 彩りを添えます。
ふうちゃんと かあちゃんは やまに やってきました。
かたくり さいたか
わらびは まだか
ゆきが とけたで
おやまへ いこうよ
かあちゃんが うたいました。
やまで、
ふうちゃんが、ひとりで あそんでいると
ごそごそごそ
草が 揺れて
草の あいだから・・・
くまのこたちが あらわれました。
こぶしの花を たべています。
くまのこたちは
ふうちゃんの ほっぺを ぺろぺろ
ふうちゃんは くすぐったくて にげました。
くつが ぬげ
ころげて 草のうえ
くまのこたちと ふうちゃんは ながぐつを おいかけ
あ、つかまえた
と、おもったら 長ぐつは、もういちど はずんで すべって
みんなも ころころ。
かあさんぐまが こどもたちを よんでいます。
くまのこたちは かけていきました。
「ふあちゃーん」
「あ、かあちゃん?」
ふうちゃんは、
こぶしの花を なめたことも、
こぐまたちと 遊んだことも いえませんでした。

かあちゃんは
ふうちゃんを おんぶして
うたを うたいながら かえりました。
かたくり さいた
こぶしも さいた
おやまの くまのこは
いいこで ねんねだよ
ふうちゃんも いいこで
ねんねだよ
・・・
かたくり、こぶしが咲く三月ごろのおはなし。くまも冬眠から覚めました。山に春が訪れた喜びが表現されています。
帰りにおんぶされて眠っているふうちゃん。前のページには寝ているくまのこたちも描かれています。かわいい寝姿です。
くまがこぶしの花をたべています。花びらが食べられることを初めて知りました。薄く天ぷらにしたり、砂糖漬けにして楽しむ事ができるそうです。
※『はるがきたよ』 神沢利子文、平山英三絵、童心社 1983年 (2025/3/17)