
蜂蜜を採りにでかける、こぐまのナバーの冒険です。
こぐまのナバーは、じっとしていられません。
歩かないで 走り
横にならないで ころげまわります
ナバーは、中の森にある はちみつを採りたいと
おもいますが、ゆるして もらえません
でも、ある夜
バナーは 中の森をめざして 歩きだしました
「なんでも やってみるきがなくちゃ、はちみつは 手にはいらない」
夜の森で
もぐら
こうもり
ふくろうに であいます
「ふくろうはかせ、はちみつをさがしにきたものが、ここにおります」
と、こうもりが いいました
「わしになにか、もってきたのか」
「いいえ・・・でも、ぼく、うたが うたえます」
「げいじゅつ、だいかんげいだ、さあ、うたってみろ」
ナバーは、しゃんと むねをはって、うたいはじめました
ある木をさがしに きたんだよ
そりゃ、たしかに てぶらでさ
でも そっちのほうが そのきなら
こっちも なかよく やるきだよ
たのむよ おしえてくれないか
かりは そのうち かえすから
そっちのほうが そのきなら
こっちも なかよく やるきだよ
ふくろうは、
「おまえのうたにも それなりに、もっともなてんがある」
と言って、はちの巣を 教えてくれました
ふくろうと こうもりの 助けをかりて
ナバーは はちみつを 手にいれました
ナバーは、はちみつの かたまりを ひとしゃぶりしました
「はちあいてに たたかったくまなら、もっとたべても いいはずだ」
ナバーは、
もうひと口
ふた口、かじりました
どんどん なめると
はちみつの かたまりは ボールのように 丸くなりました
ナバーは ガブリと 口いっぱいに ほおばりました
「こんな すこししか のこってない、
いったい、あとは どこへいっちゃったんだ」
ナバーは ためいきをつくと のこりのはちみつを
そっくり、口のなかへ ほうりこみました
家にかえると
おとうさんと おかあさんは にこりともしません
おかあさんは ナバーのおしりを ペンペン やりました
そのあと、ナバーをぎゅっと だきしめました

おかあさんくまの そばで こう思いました
「いつも いい子にしていられて、それでも やっぱり
中の森にいけたら、ほんとにいいのにな」
・・・
ナバーは、もって帰るつもりだったはちみつのかたまりを 全部食べてしまいました。ナバーのことを、子どもはじっと見ていることでしょう。「いけないことをしている」と声に出す子もいるかもしれません。でも、おいしそうなはちみつです。食べてみたいと思っている子もいるのではないかと思います。子どもの顔や反応をみながら読んでみましょう。読みかたりの楽しいところです。
また、前半のもぐら、こうもり、ふくろうとの会話は書ききれませんでしたが、ふくろうはかせの勿体ぶった言い方など、ユーモアがあって楽しい絵本です。ナバーの歌もありました。
最後のナバーのことばから、これからナバーがどんなことをするか、予想がつきます。 「なんでも やってみるきがなくちゃ、はちみつは 手にはいらない」おはなしでした。
・・・
※『はちみつ はちみつ』 ウィリアム・リプキンド作、ロジャー・デュボアザン絵、掛川恭子訳、佑学社 1980年 (2025/10/22)









