ふるはしかずおの絵本ブログ3

『はくぶつかんのよる』- 何かが おこりそう

博物館の夜、幻想的な世界が ひろがります

     

       ・・・

誰も いなくなった 夜の博物館

   

化石や 貝がらは なにひとつ うごきません

タマムシは ずっと かがやいています。

    

   

でも、

チョウたちが 

羽を ふるわせると・・・

きいろいチョウ( クレオパトラヤマキチョウ )

廊下へ とびだして いきました。   

ほかの チョウたちも 飛びまわり はじめました。

   

      

剥製の部屋で

チョウたちは よびかけます。

   

 「さあ、はやく おきて!

     

いきものたちは 目をさまし うごきはじめました。

きいろいチョウは、

光をはなつ 鉱石のうえに とまり

隕石にも しずかに ふれていくのでした。

    

    

おや、

博物館の 道具たちは まだ ねむっています

   

 「ほらほら、めを さまして」

    

はにわも おめんも ぶつぞうも

自由気ままに 空中さんぽを はじめます。

   

     

 いろんな時代の いろんな地域から あつまってきた・・・

 いきものや 化石 どうぐたちが、 

 ひとばんじゅう すごすのは・・・

    

 まるで ゆめのような ひととき!

     

    

夜明け

自由な時間は もう おしまい。

にんげんたちが やってきます。

    

          ・・・

舞台は、フランスのリヨン二あるコンフリュ博物館です。とてもユニークな外観(上の絵)です。

イザベル・シムレールの絵は、青を基調にした繊細なタッチのうつくしい絵です。青は、彼女のすきな色なのかもしれません。以前、紹介した絵本『あおのじかん』でも、夜のとばりがおりるまでのうつくしい青の時間を描きました。

      

博物館には、「いろんな時代の いろんな地域から あつまってきた・・・ いきものや 化石 どうぐたち」があります。自然と文化について、いろいろなことが一度に学べます。博物館の役割を再認識します。

   

      ・・・

※『はくぶつかんのよる』 イザベル・シムレール文・絵 石津ちひろ訳 岩波書店 2017年  (2024/8/28)

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