
のうさぎの世界をえがいた「科学の絵本」です。
・・・
雪の上に
小さな足跡が 続いています。
白い のうさぎが います。
のんびり ひなたぼっこ。
でも、耳だけは、ぴんと たてています。
風を切るような 音が しました。
くまたかです。
のうさぎは、すばやく 逃げました。
日が暮れると、
のうさぎは 食べものを さがしにでます。
冬の間は、
木の芽や 木の皮で 飢えをしのいでいます。
夜でも、
くまたか、きつね、てんなどを
警戒しています。
月夜、
のうさぎは、もういっぴきの のうさぎに 会い、
なかよくなりました。
雪が 解けるころ、
のうさぎは 褐色の 夏毛に かわりはじめました。
やがて、
さんびきの こうさぎが うまれました。
こうさぎたちは、
いやなにおいが すると、
危険をかんじ、あそびを やめます。

半月ほどたつと
こうさぎは、
ひとりで 生きていくために
巣から 草原に 旅立ちます。
・・・
のうさぎの生態を正確に語ります。また、薮内正幸さんによるモノクロの絵は、リアルで、動物たちの世界を力強く表現しています。1973年に「かがくのとも」(福音館書店)に発表された科学の絵本ですが、絵から物語性を感じます。
くまたかの風を切る音を感じる長い耳。きつねから逃げることができる脚力。きつねの匂いから危険を感じる嗅覚。これらは、生きていくための、のうさぎの能力です。子どもたちは「うさぎって すごいね」と、のうさぎの能力に感心することでしょう。
・・・
※『のうさぎ』 高橋喜平文、薮内正幸絵、福音館書店 2019年 (2024/6/21)