
ねずみの夫婦が 娘のために、お婿さんをさがす話です。
子どものなかった ねずみの夫婦は、
かみさまに おねがいを すると、
むすめねずみが うまれたんだって。
ふたりが たいせつに そだてたので
とても きりょうよしで やさしい むすめに そだったんだって。
ねずみの夫婦は
世界一 えらいひとに
むこさんに なって もらおうとして・・・
ねずみの夫婦は むすめを つれて
はじめに、おひさんに たのみにいきました。
すると、
おひさんは
くもさんが 世界一と いったって。
くもに かくされて しまうから
くもさんの ところに いくと
くもさんは
かぜさんが いちばん えらいと いいます。
かぜさんが ふくと わしら ふきとばされてしまうもの
かぜさんは
かべさんが せかいで いちばん えらいといいます。
わしらが ふきつけても でんと たっているからって いったんだって。
かべさんの ところにいくと
せかいで いちばん えらいのは
ねずみさんですよって いったんだって
ほら、きこえるだろ。
わたしを かじる音が。
わしらは かじられて 穴だらけに なってしまう
そこで、ねずみの娘は
となりまちのわかもの ねずみの ところへに
およめいり

めでたし めでたし
・・・
世界一えらい人だと思われたおひさん、くもさん、かぜさん、かべさんにも、弱いところがありました。けっきょく、ねずみのむすめは、「となりまちのわかもの ねずみ」に嫁ぎます。しあわせは、身近なところにありました。ねずみの夫婦の娘にかける愛情の深さが読みとれます。「めでたし めでたし」で終わる昔話でしたが、むすめは自分の意志で嫁入りをきめたのでしょうか。むすめの気持ちは書かれていませんが、きっとそうだったと想像したいと思いました。
小野かおるさんの絵は、おひさん、くもさん、かぜさんを擬人的に描いています。
・・・
※『ねずみのおよめさん』 小野かおる再話・絵、福音館書店 2006年